ビンボー克服のための手段が機能不全に
タイトルを見ると「なぜ給料が上がらないか」となっています。
結論から申し上げると、「賃金の上方硬直性」があるからです。もっと簡単に言えば、
「一度給料が上がってしまえば下げられない」からです。
それでは、なぜ下げられないかというと、裁判所に「不利益変更法理」(P25)
という判断基準があり、賃金変更のための「高度の必要性」と、
「合理性」が厳しすぎるからだそうです。
My first salary / radiant guy
大量消費・大量生産・賃金の上昇
じゃあ、その「高度の必要性」と「合理性」って何なの?
って突っ込んでいくとだんだんディープな法律論になっていきそうで
これ以上記事を書く自信がありません。
そこでおちゃらけミクロ経済学を運営している管理人らしく、
経済学の見地から「「賃金の上方硬直性」が発生する理由を考えていきましょう。
簡単に言えば、こういうサイクルの中が、社会全体に発生していたと考えられます。
1.戦後モノがなかった。みんなビンボー
↓
2.貧乏を克服するために大量のモノが必要
↓
3.大量生産のための労働力が必要
↓
4.大量の労働力が特化の利益を発揮
↓
5.規模の経済を発揮、生産費用が低下
↓
6.労働への報酬分配率が高くなる
おかげでめでたく日本の戦後社会はビンボーを克服することができました!
(少なくとも物質的には)しかし残念ながら、現在の日本で、このサイクルを
当てはめようとすると、かなり厳しいなぁ。
「賃金の上方硬直性」から「賃金の上下柔軟性」へ
本書を読んでいると、よく「高度成長は~だった」という形で、現在の労務と、
1947年に出来上がった労働基準法がいかに合わないかが、紹介されています。
しかし、この本読んだ自分より若い人が、
「高度経済成長期の遺物だから今の労働基準法はアカン!」
と単純な思考に陥ってしまうのも、アレかなと思い書いてみました。
(そんなことを書いている管理人も30代で、そんなにエラそうなことも言えんのですが)
「賃金の上方硬直性」も法律がどうたらこうたらという以前に、
生活上の必要性や必然性があって登場したものなんで、
そのうち、「賃金の上下柔軟性」なるものも、経済的に出来上がってくるような気がします
【参考文献】
向井 蘭 社長は労働法をこう使え! ダイヤモンド
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