2013年8月12日月曜日

善意で貧困はなくせるのか? 貧乏人の行動経済学

「思い込み」ではなく冷静な評価を







一言で言えば、マイクロファイナンスの実効性について、「突っ込み」を入れている本
マイクロファイナンスについては、こちら↓1分半ほどの動画に分かりやすくまとめられている)


kiva Japan








ムハマド・ユヌスがはじめた、グラミン銀行に関する記述もよく登場します。




費用対効果が上がる援助プログラムはどれ?





といっても、別にマイクロファイナンスを否定することが目的ではありません。
貧困国への融資や信用貸し付けなど援助プログラムの実効性を評価するのが、
本書のテーマです。例えば、こんな感じ。



【問題】
途上国における子どもたちに対して、学校への出席率を向上させるために、
最も費用対効果が高かったプログラムは次の3つのうちどれでしょうか?


  1. 制服支給プログラム
  2. 出席報酬プログラム(現金支給プログラム)
  3. 駆虫剤支給プログラム



(答え:3)




Kenya Baby and Infant Care by Jack Parish / Frontierofficial






「絶対に良いものだ!」なんて発想はしない





この【問題】から援助プログラムの実効性を評価する意義が、2つ浮かび上がります。


  • 評価をしないと「ムダ」とは言わないまでも「余分な弾」を使ってしまう
  • 先進国の「思い込み」を一方的に押し付けてはいけない。現地には現地の事情がある


なぜ、駆虫剤プログラムが学校出席率に貢献るのでしょうか?
体内に寄生虫が留まると、慢性的な全身倦怠感が発生します。
ところが1個あたり20セントの駆虫剤を用いると倦怠感が消え、
学校に登校するようになります。



制服支給や現金支給が、1人当たり100~1000ドルもかかることを考えると、
1個の錠剤で4か月も効果が続く、駆虫剤プログラムは驚異的な効果であることが分かります。



日本のように公衆衛生が整っている国から想像すると、錠剤が出席率に貢献するのは、
なかなか感じにくいですな。




【関連エントリ】


リバース・イノベーション 先進国の名もない企業が世界市場を支配するとき











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