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2013年6月24日月曜日

リバース・イノベーション 先進国の名もない企業が世界市場を支配するとき

「輸出」するって?いやいや逆に「輸入」せざるをえないかもよ







2013年6月23日に日経新聞のWebサイトを見ているとこんな記事が出ていました。
記事の主旨は、以下の通りです。


医療に必要なのは「競争」より「協調」 



人口の高齢化に伴う国民医療費の増加

医療機関・製薬メーカー・医療機器メーカーが大競争

大量の無駄や非効率が発生

そのため政府の中では、医療の中では「競争」ではなく「協調」を模索中

そして、日本の「協調」医療システムを海外(特に途上国)に輸出



この日経新聞の記事だけを読めば、「ふーん、そうかもしれんなぁ」という感じですが、
本書のリバース・イノベーションについて知ると「そうとも言えん!」という気持ちが、
ピコピコと反応します。






AliveCor iOS screenshot / juhansonin





心電図検査業界の価格破壊






日本の医療の中で「競争」が良いか、「協調」が良いかは、分かりません。
ですが、管理人が、この記事で最もひっかかったのは、以下の部分です。


"CTやMRIといった高額な検査機器の人口当たり設置台数についても日本は飛び抜けている。診療所に置いてあることも珍しくない。高額機器を導入すれば、それも遊ばせておくわけにはいかない。割と安易に検査をするばかりでなく、あちこちの医療機関で同じような検査を受けるといった無駄な事態も起こる。"


なるほど、言いたいことは分かります。こういう「絵」が描けますね。


高額な医療機器の購入

経営的に使わざるを得ない

個別の医療機関が「検査漬け体質」に

(だから各医療機関で「協調」せよと)


ところがどっこい、本書で登場するGEヘルスケアの、インド・バンガロール技術者チームが開発した、
心電計<MAC400>は、そんな「日本の常識」を覆します。初期投資(設備)、
ランニングコスト(検査料)ともに、医療機関にとっても、患者にとっても、破壊的に安い!


  • 初期投資(設備)


ハイエンド版→3,000~12,000ドル
インド改良版→800ドル


  • ランニングコスト (検査料)


ハイエンド版→5~20ドル
インド改良版→1~2ドル




一概に反対できないいろいろな理由について





「これをインドから輸入しよう!」ということになると、多分、いろんな反対意見が出るでしょう。



  • 反対意見その1:「そんなものは『安かろう、悪かろうだろう」

いいえ。コア技術である、デジタル信号プロセッサの製造は、
専業メーカー(テキサス・インスルツメンツ)に任せ、規模の経済でコストが下がるようにしています。
また、製品のコア技術と直接関係のないような特許部品(プリンター・キーボードなど)を、
汎用品に変えることで、さらなるコストダウンも行っています。(P259)



  • 反対意見その2:「単に安くしたからといって日本の医療機関が使うだろうか?」

それはやってみないと分かりません。ただGEヘルスケアは、
単に製品のイノベーションを起こしただけではなく、インドのニーズに合わせて、
従来のGE本社のやり方までも変えてきています。すでに欧米の個人開業医から、
引き合いがあったり、中国市場用に2,000ドルで販売できる<MAC800>を開発しています。
しかも<MAC800>に至っては、アメリカ本国にも「逆輸入」されているようです。(P272)



というわけで、日本のインフラや日本の医療システムの下で開発された医療機器が、
そのまま「輸出」されることについて、「?」
と思った次第です。



追伸:
日本でも売ってないかな~と思って、ググってみたら、こんなサイトがありました!
GEヘルスケア・ジャパン、コンパクト心電計「MAC600」が本年度のグッドデザイン賞を受賞




【関連エントリ】


バイオパンク-DIY科学者たちのDNAハック











2013年5月5日日曜日

医療にたかるな

媚びない・妥協しない・安易に群れない…







このセンセ、なかなかイイこというな~と思って、付箋をはさみながら読んでいたら、
200ページに満たない新書本で、付箋だらけに…。
どこを紹介すればいいのか、よく分からなくなってしまいました。



もし自分のかかりつけ医として、村上先生が診察してくださったら、
さぞかし「イヤな」先生だと思います。何十年もかけて出来た不摂生、不養生を
最低限の薬と、患者の意識改革で治そうとするイメージがあるからです。
人間はラクをしたい生き物なので、悪習慣を断つのは、とても難しい






HOKKAIDO / jim212jim





薬剤師から医師への転身





著者の村上先生は、元々は、医師としてではなく、薬剤師として某病院で働いていたそうです。



その病院で、薬漬けの診療体制に疑問を持ち、医師に進言したところ、
「薬剤師の分際で何を言うか!」と一喝されたことで、一念発起。
医学部に入学し直し、32歳で医師になったという「強者」です。



北海道の地域医療を支えるべく、財政破たんした夕張市を含む、北海道各地の
診療所での診察や、病院経営を携わってこられた方です。





実写版ブラック・ジャック、モノ申す






とまあ、こんな風に略歴だけをキレイにまとめても、
ブログを書いている方も面白くありません。本音の感想を言うと、



  • 「このセンセイ、医者としてあまり好かれない」
  • 「手塚治虫の作品に出てくるブラック・ジャック」



という感じかなぁ。もっとも村上先生も「好かれない」ことを重々承知の上、
モノ申していたりしますが。患者にも、大組織にも媚びないところは、
ブラック・ジャックそのものです。



もっともブラック・ジャックと違って医師免許は持っておられますし、治療を受けても、
法外な報酬は請求されませんが。






医師だけが言っているわけではない問題






直言居士な方なので、何らかの形でかかわる人は、さぞかし大変でしょう。
でも、おっしゃっていることは、正論をついて、なおかつ実践されている方なので、
なんとか受け入れるしかなさそうです。



管理人は、読んでるだけで気楽なもんですが、やはりここまで「突かれたら」、
いろいろと気になって考えてしまい、過去に読んだ本を思い出します。






これら2冊と村上先生の本を合わせて読むと、一層興味深くなります。




【関連エントリ】


山形道場 社会ケイザイの迷妄に喝!
そうだ葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生