2013年6月28日金曜日

初心者のためのプログラミング特集 その2

基礎からのPHP







最近「プログラミングの考え方」について学習しています。
各言語の文法だけを覚えても、そもそもの考え方が身に付かないと、
学習効果が低いのじゃないかなぁと思って。そこで対策として、こんな本を見つけてきました。




Karen, an example of a computer programmer / skyfaller





ソフトバンククリエイティブの「基礎からシリーズ」





「何言ってんだこれはマニュアル本じゃないか!」とお思いの方も
いらっしゃるかもしれません。言われてみればその通りなのかもしれません。



ただ読んでいる途中で、非常に素朴な問題ですが、初心者にとっては
かなり頭をひねらないといけない練習問題が出てきましたので、取り上げてみました。
後ほど、ご紹介しましょう。



もっとも、ソフトバンク・クリエイティブの「基礎からシリーズ」は、
どれも400ページ近くの分厚さで字がみっちり書きこまれているので、
初心者は、腹をくくって頭を総動員しなければ読み切れないものが多いと思います。




1から100までの数字で素数を書き出してみよう(繰り返し構文)




では問題です。興味のない人は飛ばしてください。
また、もっと分かりやすいコードが書ける!とおっしゃる方は、ぜひ教えください!


例題)
1から100までの素数をすべて書き出し、「1から100までの素数は○個あります」
と個数も表示させるスクリプトを作成し、実行してください(P68)



答え)

//初期化
$yaku = 0;
$sosu = 0;

//素数の書き出しと個数のカウント
for($i=1; $i<= 100; $i++){

for($j=1; $j <=$i; $j++) {
if($i % $j == 0) {
$yaku += 1;
}
}
if($yaku == 2) {
print $i." ";
$sosu +=  1 ;
}
$yaku = 0;
}
print "<br>1から100までの素数は".$sosu."個あります";



【関連エントリ】


初心者のためのプログラミング特集 その1



【参考文献】


西沢夢路
基礎からのMySQL 改訂版 (プログラマの種シリーズ SE必修! )
ソフトバンククリエイティブ





高橋のり
基礎からのWordPress (BASIC LESSON For Web Engineers)
ソフトバンククリエイティブ









2013年6月27日木曜日

初心者のためのプログラミング特集 その1

プログラムの考え方がおもしろいほど身につく本








最近「プログラミングの考え方」について学習をしています。
各言語の文法だけを覚えても、学習効果が低いのじゃないかなぁと思って。
そこで対策として、こんな本を見つけてきました。





Programmer / CEThompson





C++を別のプログラミング言語に書き換えてみる






本書は、マニュアル本やリファレンス的なサンプル集の特集ではなく、
一見複雑そうな問題をどうやって切り分けて考えるか?
ということを懇切丁寧に説明しています。



言語そのものはC++で書かれていますが、初心者の人は今流行りの
PHPJavaScriptに書き直して考えるだけでも、相当な勉強になるはず。
同一の言語を「写経」するよりも、頭が刺激されます。



(管理人の使い方)

  1. C++の初歩知識をぐぐる
  2. PHPで書き直す
  3. 分からないところはGoogle+のプログラミングコミュニティサイトに質問




繰り返し構文(forループ)でひし形を書いてみよう






興味のない人は、ここから先については読み飛ばしてください。


例題)
繰り返し構文を使い"#"(ハッシュ記号)"-"(ハイフン)で以下の出力をしなさい(P71)


---##---
--####--
-######-
########
########
-######-
--####--
---##---


答え)
以下の通りです。
なお、もっとクールなコードを書ける方がいらっしゃいましたらぜひ教えてください!


//1段目から4段目
for($row=1; $row<=4; $row++){
for($num=1; $num<=abs($row-4); $num++){
echo("-");
}
for($num=1; $num<= 2*$row; $num++) {
echo("#");
}
for($num=1; $num<=abs($row-4); $num++){
echo("-");
}
echo"\n";
echo"<br/>";
}

//5段目から8段目
for($row=1; $row<=4; $row++){
for($num=1; $num<=$row-1; $num++){
echo("-");
}
for($num=1; $num<= 2*(5-$row); $num++) {
echo("#");
}
for($num=1; $num<=$row-1; $num++){
echo("-");
}
echo"\n";
echo"<br/>";
}





【関連エントリ】


コーディングを支える技術 成り立ちから学ぶプログラミング技術






2013年6月26日水曜日

世界はひとつの教室 「学び×テクノロジー」が起こすイノベーション

「学校教育」とお仕事の関係について








こういうプレゼンテーションがあります↓



スガタ・ミトラ「クラウド上に学校を」





こちらのスガタ・ミトラさんは、自己学習システム「SOLE」による
教育革命を唱えていらっしゃいます。



サルマン・カーン「ビデオによる教育の再発明」






そしてこちらは、本書の著者のサルマン・カーンさん。カーン・アカデミーの創設者です。
プレゼンをしているところが、同じTEDなので、すごく似ているような気がします。




「何のために学校教育が登場したのか?」





中でも、酷似しているのが、最初の着眼点。2つのTEDの動画を見ているだけでは、
すぐには、分かりません。ミトラさんのプレゼンとカーンさんの本を読むと、
ピッタリ符合しているところがあります。



酷似しているといっても、おふた方がアイデアをパクリ合っているという意味ではありません。
人数としては、たった2人の人しか言ってないようなことですが、
世間の人がうすうすと思っているようなことを、代弁しているように感じます。






School children / Museum of Hartlepool






問題は大勢の人間が「食える」かどうか






そもそも、義務教育の象徴でもある、「学校教育」は、
いつごろ、どこで、何のために発生したのでしょうか?
おふたかたは、かつて近代ヨーロッパに存在した2つの国に起源を求めています。




  • スガタ・ミトラさん→大英帝国方式


"学校は官僚行政マシンの歯車になるような人間を生産してきました。全員まったく同型の歯車にならなければなりません。(中略)全員同型ですから、例えばニュージーランドから1人を選んでカナダへ送っても、すぐに適応することができます。"

(1:50ごろ)




  • サルマン・カーンさん→プロイセンモデル


"ねらいは、自分の頭で考えられる人間を育てることではなく、忠実で従順な市民を次々と生み出すことにありました。両親や教師、教会、そして王の権威に従うことがいかに大切かを知りなさいと。"

"生徒たちに所定のカリキュラム以上のことを考えさせたり、異端の危険思想を話し合う時間を持たせたりしては断じてならない。チャイムが鳴ったら有無を言わさず会話や思考を中断させ、予定された次の回へ進ませる。秩序が好奇心にまさり、規律が個人の主体性に優先する - というわけです。"

(P82~83 プロイセン・モデル)


言い換えれば、おふた方とも、「学校教育」は「大量生産の機械部品をつくるところ」
と言いたいわけですな。もちろん「大量生産の機械部品」が、良いかどうかの
価値観を論じるつもりはありません。社会には、それが必要な部門があるでしょうし。



ただ気にになるのは、それで大勢の人間が「食っていけるか?」ということ。
ミトラさんは、それについて、このようにおっしゃってます。


"我々が知る「学校」というのものは時代遅れなのです。学校は「崩壊」したわけではありません。よく「学校崩壊」というのがよく言われていますが、崩壊はしていません。造りはちゃんとしています。ただもう古くて使い物にならないのです"

(3:09ごろ)


「学校教育」とこれからの仕事をつなげてみれば、非常に興味深いテーマです。



【関連エントリ】


世界はひとつの教室 「学び×テクノロジー」が起こすイノベーション(予告編)



【参考文献】


リンダ・グラッドン
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 プレジデント社


ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉




2013年6月25日火曜日

世界はひとつの教室 「学び×テクノロジー」が起こすイノベーション(予告編)

カーン・アカデミーの創業者~サルマン・カーン氏





実はまだ読んでません(苦笑)。
ちゃっかり、アマゾンのアフィリエイト広告を、はりつけちゃってます。
先日、地元の図書館で、新刊本予約していたのが入荷されて、
これから受け取りに行くところです(だからブログの見出しは『予告編』)。



この本の著者は、サルマン・カーンさん。
教育業界の関係者ではすでに、かなりの有名人なのかもしれません。





「学校で宿題を家で授業」という教育革命






何をしている人かと言えば、コレ↓を作った人。



カーン・アカデミー





カーンアカデミー、算数、基本のかけ算







全て基本は英語ですが、最近、日本語に翻訳されているサイトも立ち上がってますね。
Youtubeで「カーン・アカデミー」と検索をすると、いくつか授業が出てきます。
(ちょっと、カタイ日本語が気になるが…。)



このカーン・アカデミーは、今
「学校で授業を家で宿題」という常識を
「学校で宿題を家で授業」という常識に、変えようとしています。




TEDでのプレゼンもどうぞ!





「Youtubeで教育革命?何でそんなことができるんだ?」と感じた、あなた。
何でかは、このTEDで行われた、カーンさんのプレゼンテーションを視聴してみてください。
カーン・アカデミーの創業の経緯なども語られています。








本書の読書感想文を書く前から、「ネタバレ」するようなプレゼンだと思いますが、
かなりおもしろい内容ですよ。



あ。でも本の方もちゃんと読んで、感想書きます(笑)



【関連エントリ】


世界はひとつの教室  「学び×テクノロジー」が起こすイノベーション







2013年6月24日月曜日

リバース・イノベーション 先進国の名もない企業が世界市場を支配するとき

「輸出」するって?いやいや逆に「輸入」せざるをえないかもよ







2013年6月23日に日経新聞のWebサイトを見ているとこんな記事が出ていました。
記事の主旨は、以下の通りです。


医療に必要なのは「競争」より「協調」 



人口の高齢化に伴う国民医療費の増加

医療機関・製薬メーカー・医療機器メーカーが大競争

大量の無駄や非効率が発生

そのため政府の中では、医療の中では「競争」ではなく「協調」を模索中

そして、日本の「協調」医療システムを海外(特に途上国)に輸出



この日経新聞の記事だけを読めば、「ふーん、そうかもしれんなぁ」という感じですが、
本書のリバース・イノベーションについて知ると「そうとも言えん!」という気持ちが、
ピコピコと反応します。






AliveCor iOS screenshot / juhansonin





心電図検査業界の価格破壊






日本の医療の中で「競争」が良いか、「協調」が良いかは、分かりません。
ですが、管理人が、この記事で最もひっかかったのは、以下の部分です。


"CTやMRIといった高額な検査機器の人口当たり設置台数についても日本は飛び抜けている。診療所に置いてあることも珍しくない。高額機器を導入すれば、それも遊ばせておくわけにはいかない。割と安易に検査をするばかりでなく、あちこちの医療機関で同じような検査を受けるといった無駄な事態も起こる。"


なるほど、言いたいことは分かります。こういう「絵」が描けますね。


高額な医療機器の購入

経営的に使わざるを得ない

個別の医療機関が「検査漬け体質」に

(だから各医療機関で「協調」せよと)


ところがどっこい、本書で登場するGEヘルスケアの、インド・バンガロール技術者チームが開発した、
心電計<MAC400>は、そんな「日本の常識」を覆します。初期投資(設備)、
ランニングコスト(検査料)ともに、医療機関にとっても、患者にとっても、破壊的に安い!


  • 初期投資(設備)


ハイエンド版→3,000~12,000ドル
インド改良版→800ドル


  • ランニングコスト (検査料)


ハイエンド版→5~20ドル
インド改良版→1~2ドル




一概に反対できないいろいろな理由について





「これをインドから輸入しよう!」ということになると、多分、いろんな反対意見が出るでしょう。



  • 反対意見その1:「そんなものは『安かろう、悪かろうだろう」

いいえ。コア技術である、デジタル信号プロセッサの製造は、
専業メーカー(テキサス・インスルツメンツ)に任せ、規模の経済でコストが下がるようにしています。
また、製品のコア技術と直接関係のないような特許部品(プリンター・キーボードなど)を、
汎用品に変えることで、さらなるコストダウンも行っています。(P259)



  • 反対意見その2:「単に安くしたからといって日本の医療機関が使うだろうか?」

それはやってみないと分かりません。ただGEヘルスケアは、
単に製品のイノベーションを起こしただけではなく、インドのニーズに合わせて、
従来のGE本社のやり方までも変えてきています。すでに欧米の個人開業医から、
引き合いがあったり、中国市場用に2,000ドルで販売できる<MAC800>を開発しています。
しかも<MAC800>に至っては、アメリカ本国にも「逆輸入」されているようです。(P272)



というわけで、日本のインフラや日本の医療システムの下で開発された医療機器が、
そのまま「輸出」されることについて、「?」
と思った次第です。



追伸:
日本でも売ってないかな~と思って、ググってみたら、こんなサイトがありました!
GEヘルスケア・ジャパン、コンパクト心電計「MAC600」が本年度のグッドデザイン賞を受賞




【関連エントリ】


バイオパンク-DIY科学者たちのDNAハック











2013年6月22日土曜日

図解&場面でわかるプロ教師の「超絶」授業テクニック

ドットインストールの通信添削と比べてみた!






最近、ドットインストールが熱い!
ITメディアを見ていると特に探すまでもなく、ちらほらと情報が流れてきます。






そのドットインストールに有料の通信添削コースがあります。先日、個人的にその中の、
初級JavaScript はじめての実践プログラミングを受講してみました。



そのあとに本書を読んだので、指導に対する考え方が、「かぶっているな~」と感じることが、
ありました。もっとも、有料コースなので、通信添削の画像を張り付けるのも、
どうかと思います。本書のテクニックを引き合いに出しながら、通信添削
受講した感想を述べていきたいと思います。








指導のコツは同じ!リアルの授業とWebの通信添削




"「分かる」というのは、新しい情報を既知の情報と照らし合わせて、自分の頭の中の棚に入れることです。"

(P115)


通信添削サービスは、新しい情報(指導サービス)を取り入れて、
最終的に自分(サービスの受け手)が「分かった!できる!」という状態になることを目指します。



そのためには、まず既知の情報が十分にある必要がありますが、
JavaScriptだけでも2レッスン51回の動画が用意されています。



"一度に複数の情報を与えると整理しづらい。→確認しながら進む。"
(P117)


課題には、プログラミングを行う上で重要なポイントが、いくつも込められています。
そのポイントは初学者にとって、何種類もの問題が重なり合うように見えて、
とても複雑に感じます。



お金を支払って教えてもらっている気楽さから、「これ、どーするんですか?」と
大ざっぱな質問を出しても、ヒントはひとつしか教えてもらえません。



添削をする側からしてみれば、一度にまとめてヒントを出した方が、手間がかからず
ラクそうなものでですが、ドットインストールの先生は手を抜いてくれません(苦笑)。



”解法の為の着眼点と手順を簡潔に提示する。(メタ解法)"
(P116)


これは、ドットインストール独自のサービスというより、プログラミングの学習をするときに
全般的に見られるコツのような気がします。
プログラマの考え方がおもしろいほど身につく本 問題解決能力を鍛えよう! でも、
最初のうちは、問題点を小さく切り分けて、自然言語による解法を自ら書くように勧めています。



いわゆる「スモールステップ」というやつですね。通信添削の各課題には数多くのヒントが、
備え付けられています(といっても答えが即出るようなものではなかったが)




「教育サービスを…」という人に





本書は、まだ義務教育を終えていない小・中学生を想定して書かれています。
従って大人でも受講できて、かつ教える内容を限定したドットインストールのサービスと、
一律に比較することはできません。



しかし、教科指導の考え方については、重なっている部分があるので、
これから教育サービスをはじめようとか、お金を支払って教育サービスを受けてみよう
という大人の人が、読んでもおもしろいんじゃないでしょうか?



【参考文献】


V.Anton Sppraul
プログラマの考え方がおもしろいほど身につく本 問題解決能力を鍛えよう! 
ASCII








2013年6月21日金曜日

日本の景気は賃金が決める その2

(再考)ラジアの年功型賃金モデルと子どもの貧困






本書を要約すると3点にまとめることができます。


  1. 2001年から2006年にかけての日本銀行の金融緩和が資源価格を高騰させ、賃金の下落を促進させた
  2. 賃金の下落と言っても、”女・非・小・短"のグループにおいて顕著で、"男・正・大・長"のグループではむしろ上昇している
  3. 全体的な賃金を上げるためには、人口を都市に集中させる



前回のブログでは、1について触れました。
今回は、それ以外について感じたことを書いてみましょう。






payday / hans s




"女・非・小・短"と"男・正・大・長"





"女・非・小・短"とは、「女性・非正規社員・小企業・短時間労働」の、
どれかの要件に属する労働者のこと。
"男・正・大・長"とは、「男性・正規社員・大企業・長時間労働」の、
すべての要件に該当する労働者のこと。



よく「労働市場の硬直化ガ―、」という発言を新聞・メディア・web界隈で見かけるますが、
半分は当たっているとは思うものの、舌足らずのように思います。



もう問題点を具体的に言うと、「労働生産性に見合わない報酬を得ている人たちが多い!」
ってことでしょう。以前、40歳定年制でふれたラジアの年功型賃金モデルが、そのことを
上手に表現しています。



ラジアの年功型賃金モデル





「年齢に関わらず生産性に見合った賃金を支払いましょう!」
というのが、日本成長戦略40歳定年制 経済と雇用の心配がなくなる日の主旨でしたが、
発想的には、本書も同じなような気がします。



40才定年制の賃金モデル






土地バブルの本当の狙いとは…





ただ、日本成長戦略40歳定年制 経済と雇用の心配がなくなる日は、
労働法や雇用慣行を改めることに力点が置かれていますが、
本書では「人口を年に集中させて、土地バブルを起こせ!」と主張しています。
その方が、"女・非・小・短"の賃金が上昇するからだそうです。



それは、なぜかというと…。
まぁ、それはネタバレになりますので、本書を一度読んでみてください。



あと、"女・非・小・短に関連して、ここでも「子どもの貧困率」についての言及がありました(P271)
所得の公平性を期するために実施ている社会保障政策を実施したら、
エライことになってしまっているやつ。 詳しいところはこの本をどうぞ。


所得再分配前の子どもの相対的貧困率
12.4%



所得再分配後の子どもの相対的貧困率
13.7%



【関連エントリ】


日本成長戦略40歳定年制 経済と雇用の心配がなくなる日
子どもの貧困 ― 日本の不公平を考える






2013年6月20日木曜日

日本の景気は賃金が決める

日銀の金融緩和→資源価格の高騰→賃金の下落





本書を要約すると3点にまとめることができます。


  1. 2001年から2006年にかけての日本銀行の金融緩和が資源価格を高騰させ、賃金の下落を促進させた
  2. 賃金の下落と言っても、”女・非・小・短"のグループにおいて顕著で、"男・正・大・長"のグループではむしろ上昇している
  3. 全体的な賃金を上げるためには、人口を都市に集中させる


今回は、特に1について感じたことを書いてみましょう。





Salary By Years Experience for Technical Writers / IvanWalsh.com




売上高の生産性分析をしてみると…





「資源価格の高騰→賃金の下落」という構図は、国を企業になぞらえると、
分かりやすいと思います。


企業の売上高を生産要素について大まかに分析すると、全体としての賃金がなぜ下がるのか、
より分かりやすくなります。文字で表現するとこんな感じかな。


売上高の生産性分析

  • 商品仕入れ高
  • 減価償却費
  • 租税公課
  • 他人資本利子
  • 地代・賃借料
  • 人件費
  • 税引き後利益


↓ (資源高騰後)


売上高の生産性分析

  • 商品仕入れ高 ←資源高騰のため↑↑↑
  • 減価償却費   ←一定
  • 租税公課      ←一定
  • 他人資本利子 ←???
  • 地代・賃借料   ←一定
  • 人件費               ←資源高騰のあおりで↓↓↓
  • 税引き後利益 ←一定




人件費が削られるのは分かる。でも他人資本の利子は?





減価償却費や租税公課は税法で決まっており、地代・賃借料は長期の契約で決まっています。
従って、これらは一定なのでしょう。



また税引き後利益についても、日本企業(特に中小企業)は「地を這うような低さ」だと
聞きます。これ以上、削る余地などなかったのでしょう。



しかし、このとき他人資本利子はどうなんでしょうか?
金融緩和で、金利が安くなったのだろうから、少なくともすでに融資の
借り換えなどをする企業にとっては、金利が安く済むってことはなかったのかな?



株式上場している企業ならば、配当率が高くなって、他人資本のコストが高くなるでしょう。
でも、日本企業のほとんどは、株式上場なんかしてないんだし。



デフレの真犯人 脱ROE〔株主資本利益率〕革命で甦る日本でも、そのことについて
書きましたが、なんかよう分からんようになってきましたわ…。
どなたか教えてください。



当時、日本銀行が金融緩和を実施すると、世界的に資源価格が高騰したのかは、
「第2章 日本銀行の罪―過去の金融緩和が賃金デフレを深刻にした」をどうぞ!



【関連エントリ】


デフレーション "日本の慢性病"の全貌を解明する
脱ROE〔株主資本利益率〕革命で甦る日本






2013年6月18日火曜日

機械との競争

労働経済の一般常識について






本書を読むことをおススメしたいひとは、こんな人。


  • 若手・中堅のサラリーマン
  • 就活中の学生さん
  • 漠然と仕事の将来について考えている人
  • 年収が少しずつ減ることについて「Why?」と思っている人



【参考サイト】年収ラボ サラリーマン平均年収の推移






MACHINES! / eggrole






古典的なテーマ。技術の進化か?人間の労働力か?





著者は、本書でかつて人間だけができたはずの仕事の領域を、
加速度的に進化するコンピュータに、侵食されつつあるということを主張しています。
その主張を裏付けるように、アメリカの労働に関わる経済統計や情勢が、語られてます。




内容としては、かつて当ブログでも取り上げた、





あたりとよく似てます。
技術の進歩によって人間の労働力がいらなくなり、失業が増加するというのは、
今も昔も変わらぬ古典的なテーマですね。働く人にとって、本書を含めて、
この手の本は、1度は目を通しておいた方が、良いと思います。




山形浩生の「経済のトリセツ」では





個人的には、この古典的なテーマについては、他の本で何度も目を通しました。
そのせいか、目新しいと感じるものはありませんでした。



「機械が仕事を奪う」→「だからどうする」という対策についても、
押さえるべきところ、主張するべきところは、なされていると思います。
(「教育投資を充実させよ」とかいうところ)。



ただ、気になるのはこの方の書評です(山形浩生 の「経済のトリセツ」)
この方は、「機械が仕事を奪う」→「だからどうする」にプラスアルファの対策として、
技術の変化に伴って、社会のシステムをどのように変えていくのかについて、しっかり
言及されています(具体的には再分配システム)。



この方が、挙げておられる著作も合わせて読んでみたいと思います。
単にラッダイド運動(機械打ちこわし)に走ってもあまり意味がないような気がするので。



【参考文献】



ポール・クルーグマン 良い経済学 悪い経済学 (日経ビジネス人文庫)





W・ブライアン・アーサー テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論 みすず書房








2013年6月17日月曜日

僕はミドリムシで世界を救うことにきめました。 ―― 東大初バイオベンチャー「ユーグレナ」のとんでもない挑戦 その2

出雲社長の心中と自由論の精神を掛け合わせてみた







ユーグレナの出雲社長は、起業をするにあたって、自分が「フツー」の人であることを、
強調されています。



  • 物質的に何不自由ない多摩ニュータウンの「ノーマルファミリー」で育ったこと
  • 「有名進学校」→「東京大学」→「東京三菱銀行」というレールは、自信のなさの裏返し
  • 起業をするにしても、10年間かけて35才くらいから、と「なんとなく」考えていたこと。
  • 銀行を辞めてしまった後も、「ミドリムシ」の事業化について胸を張っていえなかったこと。




本書では、特に起業をしたことがないような人でも、
理解できると思われる心情が、たくさん記されています。






Rails and girders / boegh




幸福の要素としての個性






で、この心情は、「出雲社長だから」とか「今どきの若い日本人だから」という
理由ではなく、人間がもつ普遍的な性質なものだと、感じることあります。
その拠りどころは、ジョン・スチュアート・ミル自由論 (日経BPクラシックス)
「第3章 幸福の要素としての個性」。






"慣習になっている以外には、自分の好みを何も思いつけなくなっているのである。精神まで、抑圧の軛(くびき)に屈している。娯楽のときですら、真っ先に考えるのは世の中に合わせることである。いつも大勢に順応していたいのだ"

(P135)


出雲社長自身は「抑圧の軛」に屈しているとは思いません。
ただ、「有名進学校」→「東京大学」→「東京三菱銀行」というレールに乗っていたのは、
世間の慣習に合わないことをするのに、ためらいを感じていたのでしょう。





「世界を救う」ビジョンについて





もちろん、出雲社長は株式会社ユーグレナを立ち上げて、かつて誰もなしえなかった
ミドリムシの培養を事業化させるなど、目に見える成果をすでに出されています。



しかし、それと同じくらいに「世間の軽蔑」の対象になりかねない、「世界を救う」という
ビジョンをはっきり言い切ってしまうところに、凄さを感じます。
以下の引用も自由論からです。



"現在の世論の動向には、個性を明確に発揮することにとくに不寛容になりやすい性格がある。ごく一般的な人は知性の水準がごく平凡なだけでなく、好みの点でもごく平凡である。何か普通とは違ったことを行おうとするほど強い趣味や望みは持っていない。このため、強い趣味や望みを持つ人が理解できず、こうした人はみな、粗野で乱暴だとして、軽蔑の対象にしている連中と同じに考える"

(P150 第3章 幸福の要素としての個性)



【関連エントリ】




僕はミドリムシで世界を救うことにきめました。
 ―― 東大初バイオベンチャー「ユーグレナ」のとんでもない挑戦
自由論(日経BPクラシックス)