日銀の金融緩和→資源価格の高騰→賃金の下落
本書を要約すると3点にまとめることができます。
- 2001年から2006年にかけての日本銀行の金融緩和が資源価格を高騰させ、賃金の下落を促進させた
- 賃金の下落と言っても、”女・非・小・短"のグループにおいて顕著で、"男・正・大・長"のグループではむしろ上昇している
- 全体的な賃金を上げるためには、人口を都市に集中させる
今回は、特に1について感じたことを書いてみましょう。
Salary By Years Experience for Technical Writers / IvanWalsh.com
売上高の生産性分析をしてみると…
「資源価格の高騰→賃金の下落」という構図は、国を企業になぞらえると、
分かりやすいと思います。
企業の売上高を生産要素について大まかに分析すると、全体としての賃金がなぜ下がるのか、
より分かりやすくなります。文字で表現するとこんな感じかな。
売上高の生産性分析
- 商品仕入れ高
- 減価償却費
- 租税公課
- 他人資本利子
- 地代・賃借料
- 人件費
- 税引き後利益
↓ (資源高騰後)
売上高の生産性分析
- 商品仕入れ高 ←資源高騰のため↑↑↑
- 減価償却費 ←一定
- 租税公課 ←一定
- 他人資本利子 ←???
- 地代・賃借料 ←一定
- 人件費 ←資源高騰のあおりで↓↓↓
- 税引き後利益 ←一定
人件費が削られるのは分かる。でも他人資本の利子は?
減価償却費や租税公課は税法で決まっており、地代・賃借料は長期の契約で決まっています。
従って、これらは一定なのでしょう。
また税引き後利益についても、日本企業(特に中小企業)は「地を這うような低さ」だと
聞きます。これ以上、削る余地などなかったのでしょう。
しかし、このとき他人資本利子はどうなんでしょうか?
金融緩和で、金利が安くなったのだろうから、少なくともすでに融資の
借り換えなどをする企業にとっては、金利が安く済むってことはなかったのかな?
株式上場している企業ならば、配当率が高くなって、他人資本のコストが高くなるでしょう。
でも、日本企業のほとんどは、株式上場なんかしてないんだし。
デフレの真犯人 脱ROE〔株主資本利益率〕革命で甦る日本でも、そのことについて
書きましたが、なんかよう分からんようになってきましたわ…。
どなたか教えてください。
当時、日本銀行が金融緩和を実施すると、世界的に資源価格が高騰したのかは、
「第2章 日本銀行の罪―過去の金融緩和が賃金デフレを深刻にした」をどうぞ!
【関連エントリ】
デフレーション "日本の慢性病"の全貌を解明する
脱ROE〔株主資本利益率〕革命で甦る日本
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