金融政策に無縁な人におススメの金融政策本
サブタイトルにある6つの疑問が、そのまま本書を構成する章になっています。
- 疑問1 日銀がお札をすれば、財布の中の1万円札は増える?
- 疑問2 問題はデフレで、その克服のためにインフレを目標にする?
- 疑問3 日銀が国債を引き受けるとハイパーインフレになる?
- 疑問4 円安誘導のインフレで日本経済は復活できる?
- 疑問5 インフレターゲットを採用すればインフレになる?
- 疑問6 日本国債は日本人が保有しているから売られない?
Yield to Maturity / Digital Sextant
インフレだけで経済がよくなることはない
6つの疑問についてまとめて答える形で出した、本書のテーマは次のとおりです。
- 「インフレを喚起すれば、日本の経済はよくなるか?」
- 「インフレによって物価は上昇し、一般の労働者の給料も物価の上昇分よりも少しは上がるか?」
結論は、「そんなことはない」。
"目標は「インフレ」ではなく、「需要増」である。「デフレ」「インフレ」は確かに貨幣的減少という側面もあるため、日銀の金融政策で何とかなると考えがちだ。しかし日本が直面している問題は、実体経済において需要が弱いことである。名目金利がすでにゼロのなかで、金融政策が需要創出のためにできることには限界がある需要増加のために実施すべき政策とは、企業や個人が将来に明るい希望をもってリスクをとれる世の中を創ることである。"
(P41 疑問2 問題はデフレで、その克服のためにインフレを目標にする?)
テキストの「金融政策」の章を読みましょう
平たく言えば、日本経済を良くしようと思うと、「他にもいろいろせなあかんよ~」ということです。
そのため著者は、日本の金融政策について広く知ってもらおうと、平易な表現が取られています。
あえて金融政策の門外漢の人に向けて、発信しているような感じです。
クルーグマンでも、マンキューでも、スティグリッツでも、何でも良いから、
「マクロ経済学」テキストを、一冊読みこなしていれば、著者の意図が、
より汲み取りやすくなるでしょう。
クルーグマンのテキストはこの3冊の中でも分量が少なくて、手っ取り早く
本書を読みこなしたい人には、特におススメ。
【参考文献】
ポール・クルーグマン クルーグマンマクロ経済学 東洋経済新報社
グレゴリー・N・マンキュー マンキュー経済学〈2〉マクロ編 東洋経済新報社
ジョセフ・E・スティグリッツ スティグリッツマクロ経済学 第3版 東洋経済新報社
金融政策でインフレ目標を持つということは、インフレ期待からくる需要増を狙っていることだと思いますが。
返信削除Etsuro HONDAさま
返信削除ありがとうございます。
コメント参考にさせていただきます!