問題の9割は生産性、所得配分、失業
”で、経済にとって大事なことというのは ― つまりたくさんの人の生活水準を左右するものは ― 3つしかない。生産性、所得配分、失業、これだけ。これがちゃんとしていれば、他のことは、まあ、どうにでもなる。これがダメなら、他の話も全滅。それなのに、ビジネスとか経済政策は、こういう大きなトレンドとはほとんど関係がない。”
(P25第1部経済のよしあしの根っこんとこ)
後の部分でも語られていますが、
マクロ経済学で、生産性、所得配分、失業の問題を語りつくしてしまえば、
9割方は、それで経済の問題はオシマイということだそうです。
(クルーグマン先生はアメリカ経済について言及しているが、日本経済もそんなもんでしょう)
生産性、所得配分、失業の問題の90%を除いた、他10%には、
- 貿易赤字問題
- 財政赤字問題
- 通貨政策
- 社会保障政策
など日頃、新聞紙面を賑わせている問題については、「間接的な問題」にしかならないそうです。(「なんでそうなるんだ!」と思われる方は、ご一読ください)
White House / DUCKofD3ATH
「祈る」ことが最良の経済政策
で、その90%の先頭に来ている、生産性成長の問題。
いくつか処方箋が挙げられていますが、どれもこれも効果が「?」なものばかり。
唯一、救いとなる策が、
「生産性を上げて、各労働者がもっと財やサービスを生産できるようにする」ということ。
でも、これは「政治家」にも「選挙民」にも、ウケがよろしくない。
生産成長の要因はいくつか考えられますけど、はっきり「コレ」だと言えるものがありません。
政治家が国の金をバーンと使って最新鋭の工場を建てるとか、
その工場どんどん人を雇うとか、そういうものでもない。
クルーグマンに言わせれば、あとは生産性成長することを「祈る」ぐらいしか、
やることはないそうです。
現在の日本でも同じことかと…。
「なんだ?このフザけた経済政策は?」とお叱りの声が聞こえてきそうです。
もっともよく読むと、教育水準向上の奨励とか、産業支援コンソーシアムの創設など、
ささやかな政策が、当たるかもしれないと、おっしゃってます。
本書は98年に書かれており、しかもアメリカ経済のことを中心に語られていますが、
現代の日本に即して、考えても十分に読むにたえるものだと思います。
特に、教育水準向上の奨励などは、最近出版された「さっさと不況を終わらせろ」でも、
言及があったような気がします。2冊合わせてどうぞ!
【関連エントリ】
さっさと不況を終わらせろ
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