2012年12月4日火曜日

さっさと不況を終わらせろ


クルーグマンの財政支出論と中央自動車道トンネル事故



さっさと不況を終わらせろ

GDPとは?



日経新聞の総合面や経済第1面を見ていると、
「GDP」という言葉に、しょっちゅう出くわします。



「Gross domestic product」の略称で、
ある年に、ある経済で生産された最終財・サービスの総額のことを指します。


貯蓄・投資支出恒等式について



さらにこのGDPは、次のように分解することができます。


GDP = C + I -(1)

C→消費
I→投資(貯蓄)


生産されたもの(GDP)は、消費投資(貯蓄)に回るので、上の式が成立します。



また財やサービスが生産されると、
その生産に貢献した人などに、報酬(給与、配当など)を払うことになります。


GDP = W -(2)

W→国民所得


(1)、(2)から、(3)式が、成立します。


W = GDP = C + I -(3)



(1)は貯蓄・投資支出恒等式と呼ばれています。
経済全体では、貯蓄と投資支出は常に等しくなるという、会計上の事実を表しています。



ただし、本来(1)には、(EX - IM)という式が加わります。
現在の先進国は、閉鎖経済ではなく、開放経済であるからです。
ここでは話を単純化するため、省いていますが、基本は同じです。



EX→輸出
IM→輸入
(EX - IM)→純輸出



クルーグマンの拡大的財政支出論



クルーグマン先生は、この貯蓄・投資支出恒等式に、
G(政府支出)を拡大的に加えることを、主張されています。つまり、



GDP = C + I + G-(4)



として、国民所得を増やすための、政府支出(財政支出)を拡大をしてください
ということです。



"現在の不況を脱出するために必要なのは、もう一段政府支出をドンと 行うことだ"

(第2章不況の経済学 P66より)


言い換えると、
「不況で、民間のI(投資)がヘタってるから、
G(政府支出・財政支出)をもっとやりなはれ。そしたら国民所得が増えまっせ!」

ということです。


トンネル事故にみる財政支出論




最近、二言目には「財政赤字」の四文字熟語を、よく耳にします。
ついこの間までGの優先順位は、低くくてもいいのではないか、と思ってました。



ですが、先日の中央自動車道笹子トンネルの天井崩落事故を、
見ていると、クルーグマン先生の拡大的財政支出論」は最優先事項である、
ということがよく分かりました。



かつてのように、ただ単に、でかいハコモノ投資ではなく、
設備更新のための、政治的には地味なI(公共投資)を行っていく必要性を痛感します。




公共事業

クレーン / BONGURI



そうなってくると、国の財政の中で、ほとんど固定的に歳出が決定している、

  • 国債の利払い及び償還費
  • 地方交付税交付金
  • 社会保障給付費

から、公共事業費にいかに回せるかということになります。
もしくは、


  • 税収範囲を増やして、税収を伸ばす
  • そもそもの税収の元となる、民間(個人・企業)の収入を増やす。


という具合に対応策は、数えられるほどだと思います。
どうなるんでしょうかねぇ~?


【関連エントリ】


世界の99%を貧困にする経済




【参考文献】


根本祐二 朽ちるインフラ―忍び寄るもうひとつの危機 日本経済新聞出版社



朽ちるインフラ―忍び寄るもうひとつの危機



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