クルーグマンの財政支出論と中央自動車道トンネル事故
GDPとは?
日経新聞の総合面や経済第1面を見ていると、
「GDP」という言葉に、しょっちゅう出くわします。
「Gross domestic product」の略称で、
ある年に、ある経済で生産された最終財・サービスの総額のことを指します。
貯蓄・投資支出恒等式について
さらにこのGDPは、次のように分解することができます。
GDP = C + I -(1)
C→消費
I→投資(貯蓄)
生産されたもの(GDP)は、消費か投資(貯蓄)に回るので、上の式が成立します。
また財やサービスが生産されると、
その生産に貢献した人などに、報酬(給与、配当など)を払うことになります。
GDP = W -(2)
W→国民所得
(1)、(2)から、(3)式が、成立します。
W = GDP = C + I -(3)
(1)は貯蓄・投資支出恒等式と呼ばれています。
経済全体では、貯蓄と投資支出は常に等しくなるという、会計上の事実を表しています。
ただし、本来(1)には、(EX - IM)という式が加わります。
現在の先進国は、閉鎖経済ではなく、開放経済であるからです。
ここでは話を単純化するため、省いていますが、基本は同じです。
EX→輸出
IM→輸入
(EX - IM)→純輸出
クルーグマンの拡大的財政支出論
クルーグマン先生は、この貯蓄・投資支出恒等式に、
G(政府支出)を拡大的に加えることを、主張されています。つまり、
GDP = C + I + G-(4)
として、国民所得を増やすための、政府支出(財政支出)を拡大をしてください、
ということです。
"現在の不況を脱出するために必要なのは、もう一段政府支出をドンと 行うことだ"
(第2章不況の経済学 P66より)
言い換えると、
「不況で、民間のI(投資)がヘタってるから、
G(政府支出・財政支出)をもっとやりなはれ。そしたら国民所得が増えまっせ!」
ということです。
トンネル事故にみる財政支出論
最近、二言目には「財政赤字」の四文字熟語を、よく耳にします。
ついこの間までGの優先順位は、低くくてもいいのではないか、と思ってました。
ですが、先日の中央自動車道笹子トンネルの天井崩落事故を、
見ていると、クルーグマン先生の「拡大的財政支出論」は最優先事項である、
ということがよく分かりました。
かつてのように、ただ単に、でかいハコモノ投資ではなく、
設備更新のための、政治的には地味なI(公共投資)を行っていく必要性を痛感します。
クレーン / BONGURI
そうなってくると、国の財政の中で、ほとんど固定的に歳出が決定している、
- 国債の利払い及び償還費
- 地方交付税交付金
- 社会保障給付費
から、公共事業費にいかに回せるかということになります。
もしくは、
- 税収範囲を増やして、税収を伸ばす
- そもそもの税収の元となる、民間(個人・企業)の収入を増やす。
という具合に対応策は、数えられるほどだと思います。
どうなるんでしょうかねぇ~?
【関連エントリ】
世界の99%を貧困にする経済
【参考文献】
根本祐二 朽ちるインフラ―忍び寄るもうひとつの危機 日本経済新聞出版社
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