2013年9月4日水曜日

苦役列車

人生のドツボにハマった人向けの作品か?







先日、モンスターという小説を紹介しました。醜さのあまり、社会の「最底辺」のいる女性が
美容整形という手段を使ってのし上がっていく様が描かれています。



モンスターは、その女性が、「美」を手に入れることによって、
社会的な立場が変わっていきます。それに伴い、物事の見方もかわるせいか、
読んでいる側が救われたような気分にもなります。



この苦役列車 も社会の「最底辺」にいる主人公を描いていますが、最初から最後まで
読み手が救われるということはないと思います(少なくとも管理人は救われなかった…)





Falling / Yakinik






日当五千五百円、ただそれだけの人生










映画苦役列車 予告編を見ていると、主人公に彼女っぽい女性ができたりしますが、
小説の方では、そんな浮いた話は全く出てきません。徹頭徹尾、救われません。


"あくまでも、食う為の日当五千五百円のみが眼目なのである"

(P38)



ただただ、日々の食欲、性欲などの生理的欲求を満たすためのみに生きている感じで、
浮かび上がることもありません。日々の暮らしに満足している人が読むと、
かえって気分が悪くなるかもしれません。




逆に人生のドツボにはまってしまった人なんかには、「うんうん分かる」と
(ひょっとしたら)共感を覚えるかもしれません。



【関連エントリ】


モンスター



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