「お笑い」だけど「笑えない」話が多々…専業主婦優遇制度
先日、こんな「まとめ」を見ました。
専業主婦が全員、職場復帰すると経済効果が6兆円あるらしい
消費だけで、6兆円の効果があると試算されていますが、
専業主婦が全員フルタイムで働きだすと、さらに約2兆8千億円※ほど「収入」が増えます。
何の「収入」かというと、税収(1兆3300億円)と社会保険料収入(1兆4400億円)です。
著者の瀬地山先生は、3兆円近いこのお金は、専業主婦優遇制度として
以下の3つの理由に基づいて撤廃することを考えていらっしゃいます。
- 制度が婚姻の継続を前提としている
- 相対的に所得の高い専業主婦層を優遇している
- 高齢社会に適合しない
big couple of woman and man in red / epSos.de
配偶者控除、国民年金3号被保険者って、やめにしませんか?
1.制度が婚姻の継続を前提としている
妻が継続して厚生年金や国民年金を受け取るためには、夫が死亡して
遺族年金として受け取る場合に限られている一方で、離婚率は33%に達している。
(ただし、2007年ごろの制度改正で、「離婚時の年金分割」ができるようになった)
2.相対的に所得の高い専業主婦層を優遇している
厚生年金(国民年金2号被保険者)に加入できない、
収入の低いの共働き層(国民年金1号被保険者)から、保険料を徴収して、
夫の年収が高い専業主婦(国民年金3号被保険者)に、「逆配分」している。
3.高齢社会に適合しない
「専業主婦優遇制度」は、政府が専業主婦を、
高齢社会の介護の担い手として打ち出していたが、2000年の介護保険制度の創設で、
高齢者は家族ではなく、社会全体で支える方針に転換している。
「優遇制度」とは「働きかた」や「子ども」の問題でもある
もちろん著者は「専業主婦はダメだ」と、いっているのではありません。
個々の夫婦やカップルが、内と外の役割分担を自分たちで決めること自体は、
尊重されるものでしょう。
ただ、その役割分担について、二重三重に政府が、税制や社会保険制度で
支援するのは、やめにしませんか?というのが、主張です。
「専業主婦優遇」の問題は、国民年金3号被保険者や所得税の配偶者控除の問題
だけにとどりません。この問題に付随する問題として、
- 男性の家事・育児の参加問題
- 子ども手当・児童手当の問題
などとも関連します。そしてさらには、世の中でよく言われる
- 社畜の問題
- ブラック企業の問題
にも行きつき、結局のところ、一番の根っこは、
- 年功序列賃金
- 終身雇用
の制度の問題に行きつきます。
そうそう、近頃「雇用特区」の話題が盛んですね。「雇用特区」が拡大すれば、
「専業主婦優遇制度」も変わっていくのではないでしょうか?
日本経済新聞 2013/7/26 特区で雇用規制緩和 政府検討、残業・解雇柔軟に
Joe's Labo 2013年09月21日 雇用特区でブラック企業が生きていけないわけ
※数値は本書に登場するものをそのまま使っています。
出版年が2001年ですが、今とそう大差はないと思います(機会があれば調べときます)
【関連エントリ】
日本成長戦略40歳定年制 経済と雇用の心配がなくなる日 その2
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