2013年5月23日木曜日

日本成長戦略40歳定年制 経済と雇用の心配がなくなる日

ラジアの年功型賃金モデルについて






本書を読むと、日本型雇用の核心にある


  • 終身雇用
  • 年功型賃金
  • 定年



三種の神器について、エド・ラジアという労働経済学者の理論を紹介しながら、
目からウロコが出るほどクールに説明されています!



「法律がどうたら」とか、「日本民族はそもそも」など、解読するのに
やたら時間がかかりそうなことを、作図を使って、5秒で理解できるでしょう。






Salarymen / WordRidden





若いとき低く、年をとってから高く





ラジアの年功型賃金モデルとは、具体的に次のとおり。
若いころの賃金は低くなりますが、40歳を超えてから、貯金を引き出すような形になっています。



  1. 若いときの働き(生産性や貢献度)に対して、賃金は抑えられる
  2. 40歳くらいで、働きと賃金が等しくなる
  3. 40歳を超えると働きよりも賃金が上回る
  4. 若いときと中高年のときの差分(働き‐賃金)がゼロになるところで定年が決定


ラジアの年功型賃金モデル







普通の貯金であれば、銀行に「返してくれ」と言えば、
20年後でも30年後でも、貯金は返してくれます。



しかし、年功型賃金モデルの貯金の特徴は、退職すると、
若いころの貯金を返してもらえないこと。したがって、
40歳以降というのは、「絶対やめたくない世代」になることが分かります。



ちなみに、このモデルを使って、定年延長制を説明すると、次のとおり。
40才以降に引き出すはずの貯金が、薄く延べられるという感じです。



  1. 上記の4で決まっていた定年を右にシフト
  2. 右側の面積を一定に保つため、A点から右側にある賃金の傾きを緩やかにする


ラジアの年功型賃金モデル(定年延長制)






年功型賃金も公的年金も構図は同じ




という感じで、本書のある部分を要約しましたが、
まとめていて気づくことがあります。



「年功型賃金モデルって賦課方式の公的年金と同じじゃないの?」
(賦課方式の公的年金についてはこちら)


(共通点)

  • 公的年金も先に給与税(社会保険料)を納めて、あとから年金を支給を受け取る
  • 若年層が高齢層を養う構図
  • 年功型賃金も公的年金も大きな単位であり、誰が誰を支えているのか分かりにくい



ネズミ講と同じで、親ネズミが少なくて、子ネズミがどんどん増えているうちは、
なかなか上手いサイクルです。
しかし、親ネズミが増えすぎて、子ネズミが少なくなると、エライことになりますなぁ。


(つづく)



【関連エントリ】


独学という道もある
日本成長戦略40歳定年制 経済と雇用の心配がなくなる日 その2
たった1%の賃下げが99%を幸せにする
年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革その1


【参考文献】


城 繁幸 若者を殺すのは誰か? (扶桑社新書)








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