ラジアの年功型賃金モデルについて
本書を読むと、日本型雇用の核心にある
- 終身雇用
- 年功型賃金
- 定年
三種の神器について、エド・ラジアという労働経済学者の理論を紹介しながら、
目からウロコが出るほどクールに説明されています!
「法律がどうたら」とか、「日本民族はそもそも」など、解読するのに
やたら時間がかかりそうなことを、作図を使って、5秒で理解できるでしょう。
Salarymen / WordRidden
若いとき低く、年をとってから高く
ラジアの年功型賃金モデルとは、具体的に次のとおり。
若いころの賃金は低くなりますが、40歳を超えてから、貯金を引き出すような形になっています。
- 若いときの働き(生産性や貢献度)に対して、賃金は抑えられる
- 40歳くらいで、働きと賃金が等しくなる
- 40歳を超えると働きよりも賃金が上回る
- 若いときと中高年のときの差分(働き‐賃金)がゼロになるところで定年が決定
ラジアの年功型賃金モデル
普通の貯金であれば、銀行に「返してくれ」と言えば、
20年後でも30年後でも、貯金は返してくれます。
しかし、年功型賃金モデルの貯金の特徴は、退職すると、
若いころの貯金を返してもらえないこと。したがって、
40歳以降というのは、「絶対やめたくない世代」になることが分かります。
ちなみに、このモデルを使って、定年延長制を説明すると、次のとおり。
40才以降に引き出すはずの貯金が、薄く延べられるという感じです。
- 上記の4で決まっていた定年を右にシフト
- 右側の面積を一定に保つため、A点から右側にある賃金の傾きを緩やかにする
ラジアの年功型賃金モデル(定年延長制)
年功型賃金も公的年金も構図は同じ
という感じで、本書のある部分を要約しましたが、
まとめていて気づくことがあります。
「年功型賃金モデルって賦課方式の公的年金と同じじゃないの?」
(賦課方式の公的年金についてはこちら)
(共通点)
- 公的年金も先に給与税(社会保険料)を納めて、あとから年金を支給を受け取る
- 若年層が高齢層を養う構図
- 年功型賃金も公的年金も大きな単位であり、誰が誰を支えているのか分かりにくい
ネズミ講と同じで、親ネズミが少なくて、子ネズミがどんどん増えているうちは、
なかなか上手いサイクルです。
しかし、親ネズミが増えすぎて、子ネズミが少なくなると、エライことになりますなぁ。
(つづく)
【関連エントリ】
独学という道もある
日本成長戦略40歳定年制 経済と雇用の心配がなくなる日 その2
たった1%の賃下げが99%を幸せにする
年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革その1
【参考文献】
城 繁幸 若者を殺すのは誰か? (扶桑社新書)
0 件のコメント:
コメントを投稿