本当の「公平」の話をしよう
何か負担しなければならないものについて、「折半」・「半分ずつ」と言われたりすると、
何となく、「公平」そうに聞こえます。
例えば、会社員の人が、給与から天引きされている社会保険料
(厚生年金保険料と健康保険料)は、事業主と従業員が、半分ずつ負担しています。
ある人の給与明細書から3万円の社会保険料が、天引きされているとしましょう。
その裏側では、事業主が同額の3万円と合わせて、合計6万円の保険料を
年金事務所に納付することになります。
社会保険料負担は、事業主3万円、労働者3万円なので、
一見、「公平」な負担に見えそうですが、実は「公平」な負担になりません。
シーソー / vr4msbfr
経済学の「公平性」とは?
伝統的な経済学の見方にのっとれば、社会保険料の実質的な負担は、
(ほとんど)労働者側が負っていることになります。
1.労働市場での均衡価格(賃金)上昇
2.労働の需要側(企業)はA点までしか労働の需要をしなくなる
3.労働の供給側(労働者)で、より多くの死荷重が発生
市場経済による「公平性」
この話のポイントは、労働の需要側(企業)と労働の供給側(労働者)で
線の傾きが違うところです。
前者は、傾きが小さく弾力的なので、賃金が変化したときに
労働量を調整しやすいのに対し、後者は傾きが大きく、硬直的なので、
労働量を調整しにくいという性質を持っているからです。
もっとも、いわゆる「売り手市場」の労働市場などは、需要曲線と供給曲線の傾きが、
逆転します。そうすると社会保険料の負担感は、会社と労働者は逆転します。
【関連エントリ】
おちゃらけミクロ経済学~社会保険料と労使折半
おちゃらけミクロ経済学~社会保険料弾力性
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