2013年4月21日日曜日

コモンズ ネット上の所有権強化は技術革新を殺す

「自由」ってなかなかイイもんだよ!







まず、問題です。


  1. 羊飼いが自分の羊だけに草を食べさせようとすると、共同の牧草地はどうなるか?
  2. 漁師が先を争って、魚を取り出すと漁場はどうなるか?
  3. 目的地に早く着くための高速道路を、皆が一斉に使いだすとどうなるか?


それでは、答えです。


  1. 牧草地の草は過剰に摂取され、結局は羊の食べる草がなくなる。
  2. この漁場ではやがて魚が取りにくくなり、漁師の生計が立たなくなる。
  3. 渋滞が発生し、かえって目的地に着くのが遅くなってしまう。


これらは、ミクロ経済学がいうところの「共有資源」の問題です。
それぞれの財は、正当な対価を支払わなくても、利用することはできます。



そのため、「われもわれも」と、全員がフリーライド(ただ乗り)しはじめ、
「共有資源」が消費しつくされます。





「共有資源」の問題から得られる教訓は、「ただ乗り可能な財」については、
消尽されないために、市場取引の規範だけではなく、法律などの別のコントロールが、
必要であるということです。






DSCF2865 / HIRAOKA,Yasunobu





本書は「共有資源」の応用編





が、ここまでは教科書的なお話です。
本書でも「共有資源」の問題を扱っているので、牧草地や漁場、高速道路の
考え方が、「ある程度」までは当てはまります。ただし、決定的に違うことは、
インターネットの世界が具体的な「ブツ」の体裁をなしてないことです。



「ブツ」の体裁をなしていない、インターネットの世界で、
リアル空間で使われている、市場取引と法律の規範だけを持ち込むと、
我々の自由な生活はどうなるか、というのが議論の始まりです。



「インターネットの一部をなしているケーブル回線や
ADSL回線はブツの体裁をなしているじゃないか!」
という反論も、聞こえてきそうですが、これらも教科書的な対応だけでは、
間に合わないことが説明されています。




日常生活でできるコモンズの実践





「議論のタネとしては非常に面白いが、読んでどうせいっちゅうんじゃ!」



10年以上前に刊行された本なので、すでに本書の内容を知っている人は、
思われたかもしれません。訳者である山形浩生さんも「あとがき」で、
そう述べられています。



「どうせい」っちゅうことは、議論の筋を丁寧に追うことによって、読み取ることはできます。
しかし、それでは手早く読むためのブログの記事として、成り立ちません。
したがって、結論だけ述べておきます。


”あなたにできる/すべきことーそれはいまあるイノベーションのプラットフォームーインターネットでもいいし、それ以外の各種コモンズ(共有資源)でもいいーを使って、どんどん新しいものを創り出すことだ。自ら既存の資源を利用してイノベーションを行い、開発を行い、創作を行って、自由を精一杯活用し、自由の持っているポテンシャルを実現することだ”


(P419「訳者あとがき」かっこ書きは管理人がつけました)


【関連エントリ】


ネット帝国主義と日本の敗北 搾取されるカネと文化
「ネットの自由」VS著作権 TPPは終わりの始まりなのか




【参考文献】


ローレンス・レッシング REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方 翔泳社









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