2013年4月23日火曜日

困ってるひと

「難民女子」、システム不全とたたかう






著書である大野更紗さんは、今の日本において、自分の「住所」がなきに等しい状態です。
言語を絶するほど、2つの意味で、「困って」います。


  • 「筋膜炎脂肪織炎症候群」
  • 「身体障害程度等級 二級」


1つ目は大野さんの病気が、自己免疫系の特殊な疾患であること。
検査体制も、治療法も確立されていません。専門医も日本に指折り数える程度しかいません。



2つ目は、現在の社会保障制度のセーフティネットに、ひっかかりにくいこと。
障害者福祉施策が、太平洋戦争中の傷痍軍人の救済を目的としているため、
大野さんの症状や闘病生活を支えるのに、必ずしも適していないことです。



言い換えれば、彼女は、「体のシステム」と「社会のシステム」と2つのシステム不全と、
立ち向かわなければならない
方なのです。
(彼女はこのことを、『わたし、溺れる。「制度」のマリアナ海溝へ』と表現している)






Hospital Geral do Estado / Fotos Gov/Ba




専門医でさえ迷う「住所不明な疾患」





以下、管理人があーだこーだと書くよりも、引用をそのまま使わせてもらった方が、
大野さんの主張が伝わると思います。まずは医学的なことから。



【検査のための骨髄穿刺について】
"こう「針」ではなく、「釘」としか言いようのない、つまりはクギのついた、巨大な注射針を、一応局所麻酔をして、腰にぶすっと突っ込み、ゴリゴリゴリと力任せに腰骨を突き刺し「ヒュッ」と骨髄液を採取するのだ。どうだい想像するだに戦慄するであろう。"

(P92 第四章 わたし、壊れる)


【卵巣膿腫のためお尻がパンパンに腫れ上がったあとの出来事)
”わたしのおしりは、ついに破裂した。(中略)とにかくわたしの液状化したおしりは、流れ続けていた。わたしは立たされ、地球の重力に従って落ちてくるチョコレートフォンデュ状態の「元おしり」液体を、I君(男性看護師)がボトルで受け止める。"


(P195 第九章 わたし、流出する   かっこがきは管理人が書きました)



大日本帝国がつくった?障害者福祉制度




次に、日本の社会保障制度について。


【難病患者が制度の狭間に陥っている存在であることについて】


"戦後、戦争で怪我を負った軍人さんの保護を主たる目的に始められた日本の障害者福祉施策においては、「目に見える障害」=「身体障害」という、概念がいまだにメインストリームとして引き継がれている。どんなに苦しくても、痛くても、関係ない。"

(第十章 わたし、溺れる)


【社会福祉制度が複雑怪奇な「モンスター」であることを悟った時の決意】


"ひとが、最終的に頼れるもの、それは、「社会」の公的な制度しかないんだ。わたしは「社会」と向き合うしかない。わたし自身が「社会」と格闘して生存していく術を切り開くしかない。"

(第十一章 わたし、マジ難民)



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