2013年3月12日火曜日

技術の設計と創造

思考の「タコツボ化」を防ぐためには?



技術の設計と創造



「余計なことを考えるな。目の前の作業に集中しろ!」
どこかで聞いたことがあるようなフレーズではないでしょうか?



大企業や学校のような大きな組織体で、ありがちな言葉づかいです。
「良いか?悪いか?」で考えると、賛否両論となる問題でしょう。
まず、一歩引いて、このフレーズが使われている状況を、まず考えてみましょう。





技術の設計と創造

2009台灣設計博覽會 / llee_wu





規模の経済をつかって考えてみる




ミクロ経済学には、規模の経済という考え方があります。
最初に固定費用を投入した後に、労働などの可変費用を逐次投入していけば、
全体の平均費用が下がり、大規模な生産をするほど利益が上がります。



この規模の経済を支えている、生産に投入される労働者による分業です。
いくつもの作業を一人で行うよりも。ある一つの作業に特化した方が、生産性に寄与します。



「余計なことを考えるな。目の前の作業に集中しろ!」
という言葉尻だけをとらえると、価値観が入り乱れて、議論がまとまりそうにありません。
ですが、ミクロ経済学の視点で捉えると、一定の評価が下せます。




分業や特化の利益とは正反対の知見





もっとも、規模の経済は、需要と供給の関係で言えば、「供給」の方からしか捉えていません。
大量流通・大量消費できる需要の存在については、まったく考慮していません。



社会全体が、今日の食べ物や寒さをしのぐ衣服も満足にもてない状況であれば、
モノの大量生産が必要です。「目の前の仕事に集中しろ!」というフレーズは、
使い勝手が良かったかもしれません。しかし、衣食住が一定水準以上に
満たされたあとはどうでしょうか?



実は、本書に書かれている内容は、規模の経済だとか、特化による利益、分業
などという言葉とは、正反対の知見が記されています。
「文系」とか「理系」といった分野に関わらず、「思考のタコツボ化」について心当たりの方はぜひ。




【関連エントリ】


おちゃらけミクロ経済学 規模の経済と規模の不経済その5



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