2013年3月7日木曜日

「中卒」でもわかる科学入門 +‐×÷で科学のウソは見抜ける!

科学リテラシーから社会保障問題まで



「中卒」でもわかる科学入門 +‐×÷で科学のウソは見抜ける!



著者の小飼弾さんの文章を読んでいると、
読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門
有名な佐藤優さんを思い出します。



佐藤優さんは、哲学、キリスト教神学、外国語に精通していらっしゃるのに対して、
小飼さんは、物理学、数学に大変博識です。



小飼さんは毎月400~500冊の献本を受けられるそうですし、佐藤さんは毎月300冊の本を
読むと聞きます。それだけに、確信に満ちた文章からは、思わず「なるほど!」とか、
「へー、そんなことがあったのか!!!」と感じ入るばかりです。






Books behind the bed / zimpenfish





公共財からみる科学プロジェクト





豊富な読書量に裏付けられた、大変分かりやすい文章ですが、
ただ一点、著者が煮え切れない考えを吐露する場面があります。


”役に立つエンジニアリングを優先して、直接役に立たない科学プロジェクトは、やめるべきなのか、私自身頭を悩ませています”

(第4章 科学時代の社会・企業・国家P175)


経済学でいえば、科学プロジェクトは、公共財といわれます。
その科学プロジェクトに対して、代価を支払わなくても、誰でも利用することができるし、
複数の人が同時に消費することができるからです。



伝統的な経済学のテキストに則って考えると、こういう財・サービスは、
公衆衛生・外交・軍事サービスと同じく、政府が提供することになります。




ベーシックインカムで知的好奇心を満たそう!





もちろん、著者は、何の役に立つか、すぐにわからない研究に対して、
政府が無尽蔵に、お金をつぎ込むべきだとは、主張されていません。



そもそも、新しい科学技術を一つ生み出そうと思えば、莫大な時間がかかります。
その間の「メシ代」はどうするのか、という心配が先に立ちます。



そこで、登場するのが新しい社会保障制度です。資力などの要件を一切問わず
国民全員に最低生活費として、「ベーシックインカム」を渡すという考えです。



「食うに困らなければ、知的好奇心(科学技術の研究)にも打ち込みやすくなる」
という考え方です。



本書は、一見読み手の科学リテラシーを強調するような本です。
ですが実は、日本の社会保障問題にも行き当たる、壮大なテーマの本でもあると思います。



「ベーシックインカム」については、拙文のおちゃらけミクロ経済学でも書いておきましたので、
合わせてよろしくお願いします。




【関連エントリ】


ベーシックインカムと「もしもボックス」



【参考文献】


佐藤 優 読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門 東洋経済新報社


読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門



小飼弾 働かざるもの、飢えるべからず。 サンガ



働かざるもの、飢えるべからず。<






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