古今東西、人間不変の「ドロドロさ」
著者の湊かなえさんの作品を初めて読みました。何かと「手堅い」作家さんだと思います。
聞けばテレビでも、本書を題材としてドラマが放映されているらしい。
「手堅い」というのは、何もTBSで放映されているからだけではありません。
人間がもつ不変的な「ドロドロさ」を現在の日本の風景に落とし込んでいるからです。
昔からあるようなテーマを使って、読者の期待に答えるように感じます。
つまり、本にするにしても、ドラマにするにしても、
商業的に「ハズレなし」というふうにしていることが、「手堅い」と感じるゆえんです。
古典文学の現代訳を出すようなもので、一定の需要があることが予想できます。
Nakayan's tilt-shift residential street in Yokohama 箱庭住宅街 / pinboke_planet
『戦争と平和』と『夜と霧』
「ドロドロさ」というだけでは、あいまいではっきりしません。
本書で登場する人物の「ドロドロな性格」を、古典に置き換えてみましょう。
「周りの目を気にしすぎ・自意識過剰」
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戦争と平和(1865~1869・ロシア) byレフ・トルストイ(ロシア)
ナポレオン戦争で出征している、あるロシア軍士官は、
フランス軍との交戦中に目の前で砲弾が飛び交っているにも関わらず、
敵兵よりもなぜか上司からの評価が気になって仕方がない。
「自分より弱い立場の者を追い込む・蔑む」
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夜と霧(1946) byヴィクトール・フランクル(オーストリア)
第2次世界大戦期における強制収容所経験にもとづいた作品。
強制収容所の所員による直接的な虐待よりも、
追い詰められた収容者同士の足の引っ張り合いの方がエグイ。
『夜行観覧車』は救われるのか?
一応、「感想文」の体裁を取っておりますが、実は全文を読んでません。まだ途中です。
「ドロドロしすぎ」でこの先、読もうかどうか迷っています。
確かに戦争と平和や夜と霧も読んでいて、苦しい部分はあります。
しかし、あるところで登場人物が、人生を達観したような感じになり、
読んでいて「救われた」感じになるからです。
果たして、本書は読んでて「救われる」のでしょうか?(ドラマも見る気がせんな~~~)
【関連エントリ】
世界100物語〈4〉ロシアの光と影(イワン・イリイチの死)
【参考文献】
レフ・トルストイ 戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)
ヴィクトール・フランクル 夜と霧 新版 みすず書房
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