「怠け者」が作り出す新しい仕組み
働きアリの中には、必ず「働かないアリ」がいます。働きアリといえど、
その100%が、エサをせっせと運んだり、子守に従事しているわけではないそうです。
80%のアリは、働いているそうですが、20%のアリは、本当に「ダラダラ」しているそうです。
では、80%の「働くアリ」と20%の「働かないアリ」を、別々の集団に隔離するとどうなるでしょうか?
それぞれの集団の中で80%の「働くアリ」と、20%の「働かないアリ」に見事に分かれるそうです。
実は「働かないアリ」と言っても、アリの社会全体で見れば、次のような役割があるそうです。
- 「働くアリ」では見つけられないルートからのエサの調達
- 外敵が侵入してきたときの巣の防衛
ant and scale insects / entophile
「仕組み化」が進めば人手が余る…
著者の小飼さんは、著名なプログラマーです。同じ動作を100回することがあれば、
プログラムを1回書いて仕組み化することを考えてしまうそうです。
もっとも、小飼さんがプログラミングを習得するずっと以前から、人間の社会も、
人手で行えば、いつ終わるのかも分からないようなことを、仕組み化を行い、
社会全体を豊かにしてきました(具体的には蒸気機関とか電信とか)
ただ、ここで問題となるのは、今まで100人で行ってきた仕事が、
仕組み化によって、10人ぐらいの人数でできてしまうことです。
残りの90人は仕事がなくなり、お金も得られません。そのうち、仕事がある10人の方も
90人に対しては、モノが売ることができず困ってしまいます。
「怠け者」たちよ、新しいエサを取ってこい!
そんなときに出てくるのが、「働きアリ」の80:20の法則です。
人間の社会でもこの考え方が使えるというのが、小飼さんの主張です。
「働かざるもの食うべからず」ではなく、「働かざるもの飢えるべからず」です。
社会の20%は、思い切って「ダラダラ」しましょうよ。ということです。
「ダラダラ」と言ってしまうと、語弊がありますので、具体的に言うと、
新しい「仕組みを作っちゃいましょう!ということです。
新しい「仕組みを作るというのは、はた目には遊んでいるように見えます。
しかし、既存の仕組みだったら目に見える成果物が得られやすい一方で、
新しい「仕組みでは、容易に成果をあげることはできません。
大変難しい問題ですが、小飼さんは新しい仕組み作りについて、
価値を見出している方だと感じます。
【参考文献】
長谷川英祐 働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)
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