2013年3月16日土曜日

訳者解説 新教養主義宣言リターンズ

『訳者解説』で一冊の本が書けてしまうすごさ!



訳者解説 新教養主義宣言リターンズ




以前、新教養主義宣言という本の感想文を書きました。本書はその姉妹本です。
翻訳家として有名な山形浩生さんが、翻訳した本の『訳者解説』をした本をまとめた本です。



「フツー、『訳者解説』が一冊の本になるか?」っていうイメージだったのですが、
そのイメージをひっくり返してくれました(もちろん良い意味で)。






Sailor translates to Chinese personnel. / Official U.S. Navy Imagery



「山形印のおススメパック」





本書は取り扱っている題材(本)が、環境問題から人間の自由意志の問題、
時には放送禁止用語的なテーマまで、とても幅広いです。



なおかつ、テーマも体系だっているというわけではありません
はっきり言えば、「山形印のお徳用パック」というところ。
ですが、山形さんが頭の中で何を考えているかが、よくわかる本です。


"それぞれの本についてぼくが何に興奮しているか、何をおもしろがっているかは、かなりはっきり出ている。その興奮や驚きの方向性みたいなのは、ずいぶん似通っていることに我ながらおどろく。いい加減にあれこれつまみ食いして、頼まれる本を片っ端からやっているだけなのに、その解説では多少の一貫性があると思う"

(P39 『訳者解説』解説)



その山形さんの一貫性としてと考えられるのは、費用便益分析の視点だと感じます。
(他にもいろいろあるが)



特に難しいことではなく、「何かをするためには、別の何かをあきらめなければならない」
という経済学におけるスタンダードな考え方。機会費用とか、トレードオフの問題とも言います。




意外と(?)人情味のある『山形トーク』





言うまでもなく、山形さんは頭の回転がものすごく速いなのでしょう。
それもただ速いだけではありません。



経済学の機会費用とかトレードオフを持ち出しても、切られる方の痛みを
考慮に入れていることです。本書でも、ところどころに述べられていますが、
こちらのサイトでもその考え方が、発揮されています。



山形浩生 の「経済のトリセツ」
■[書評]長谷川『縮む世界でどう生き延びるか?』
:お気楽な成長否定の社会ダーウィニズム。ふざけんな。




長谷川先生の著作、働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)は、
個人的に気に入っていた本だけにビックリしました。




【関連エントリ】


環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態
新教養主義宣言



【参考文献】


長谷川英祐 働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)


働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)



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