コンテンツの「お代」の回収方法について
私たちが、いわゆる「ネットを楽しむ」という行為には、
次の3つのレイヤー(層)が重なり合うことで、その行為が完成します。
- コンテンツレイヤー(新聞・音楽・動画)
- プラットフォームレイヤー(検索サイト・動画投稿サイト)
- インフラレイヤー(ケーブルテレビ・プロバイダー)
近年、インフラレイヤーに光ファイバー網の整備や、
プラットフォームレイヤーの検索技術や広告技術の進歩によって、
私たちが、「ネットを楽しむ」という行為は、「(ほとんど)タダ」という考え方が、定着しています。
Webbed / puliarf
「搾取」について
いわゆる「技術進歩」の恩恵を受けて、3つのレイヤーの中で、
情報流通の「独占」をしたのが、2層目のプラットフォームレイヤーです。
特に、広告収入の分野では、Googleの1人勝ちの状況になっています(P39)
Googleの検索技術は、私たちが調べたい情報や知識を瞬時に表示します。
昔は、「この情報は新聞で」、「あの情報はテレビで」といった具合に、
縦割りごとに並んでいた情報が、並んでいました。
しかし、Googleの検索ロボットは、縦割りの垣根を破って、Google独自の「検索結果」を
流通させることに成功しました。そして、あまりの効率のよさに、Googleは、
既存の「縦割りメディア」から、ユーザーの注目とともに、広告収入のシェアも奪っていきました。
このとき発生した問題は、「縦割りメディア」の持っていた「コンテンツの社会的価値」に
ついて誰が、対価を支払うのか?ということです。
つまり、著者は、コンテンツの「作り手」に対して、その見返りが十分に回らず、
プラットフォームレイヤーのみに、超過利潤がまわることを危惧しています。
そこから、アメリカ以外のジャーナリズムや文化が衰退してしまうのではないか?
という主張を展開されています。
コンテンツの「お代」は誰が捻出するか
かといって「縦割りメディア」が、そのまますなわち、「社会的価値」にはなりません。
著者は、安易に補助金や法的保護を持ち出すことについては賛成する気は、
さらさらなさそうです。
"この二つの分野(ジャーナリズムと文化)で政府の直接的な関与が大きくなっても、ロクなことがないからです。例えば、ドイツでジャーナリズムの救済策としてフランスのような直接的な政府支出が議論さえされていないのは、ナチス時代の政府によるメディア操作という苦い経験を踏まえたものだそうです"
(P183「第5章日本は大丈夫か」)
本書の問題意識を、かいつまんでいうと、コンテンツの「お代」はどうするのか?
ということです。一つの方向性として、当ブログでも、以前紹介したRie fuさんのように、
中小のコンテンツレイヤーは、コピーのしようがない「生」の情報流通で、
自助努力をしていくことが、考えられます。
その他、コンテンツの「お代」の回収については、第5章にいくつか方策が、挙げられています。
でも、それは読んでのお楽しみということで。
【関連エントリ】
コモンズ ネット上の所有権強化は技術革新を殺す
今週の週刊ダイヤモンド 2013年1月12日号
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