「督促」の世界から見たあれこれ
タイトルを見れば、おおよその見当はつくかもしれません。
著者の榎本さん(文中では督促OLのN本さん)は、次のように紹介されています。
"新卒で信販会社に入社し支払延滞顧客への督促を行うコールセンターに配属される。多重債務者や支払困難顧客から怒鳴られながらお金を回収する日々の中、心を病んで次々と辞めていく同僚を見て一念発起。気弱でヘタレな性格でも言い負かされず回収できるメソッドを開発、クレジットカードの回収部門にて300人のオペレーターを指示し年間2000億円の債権を回収”
文章自体はキレイにまとめられていますが、
実際は、キレイどころか、オドロオドロしい世界が、とぐろを巻いて待ち受けています。
Credit card companieS! / eliazar
大きな「督促」・小さな「督促」
さて、この本を読み終わって思う感想は2つあります。
- 「N本さん、頑張っているよね~」
- 「研究熱心な方やね~」
といった、N本さん自身にスポットをあてたミクロな視点での感想が1つ。
もう1つが、
- 「同じような雇用契約で入った新卒社員の会社の拘束時間が、著しく異なるのはなぜか?」
- 「過酷な感情労働で離職率が高い割に、給料が高いとは言えない」
- 「オペレーターの労働市場で、需要と供給の法則が働いているのか?」
N本さんを取り巻く労働環境についてのマクロな視点。
「督促ワールド」から見えるものとは…⁉
ごく個人の体験記を具体的に語られている本なので、感想は人それぞれだと思います。
- 「約束事(支払金額、支払日)は相手に言わせる」(P44)
- 「クレームには付箋モード(言葉のテンプレート)で対応する(P154)」
読んでいると、日常の仕事や生活で試したくなる(試さざるを得ない?)
コツが満載だなぁ~と思ったりもします。
一方で、仕事の内容の割には、特別に時給が高いというわけでも、なさそうな感じ。
"コールセンターの離職率は高く、オペレーターは定期的に採用される。けれど「最初の30人が採用されても研修を終える段階では、20人になり、配属されて2か月ほどで約10人前後に減ってしまう”
(P131 06 N本、大抜擢される)
一般的に財の供給が少なければ、需要に応えられず、価格は均衡に向かって上昇するはず。
需要と供給の法則
N本さんの業界に当てはめれば、オペレーターのなり手が少なければ、
信販会社の需要と均衡するためには、オペレーターさんの給料が上がる
ような気がしますが。
この業界の採用市場では、30人→10人になることが、はじめから
織り込み済みなんでしょうかね~。
【参考文献】
青木雄二 ナニワ金融道 全10巻セット 講談社漫画文庫
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