2013年5月20日月曜日

限界集落株式会社

超えるべきは「付加価値のカベ」と「人間の性」







先日、twitterのタイムラインをながめていると、
Wall Street Journalの記事に関するつぶやきが流れてきました。


Wall Street Journal【社説】安倍首相の「第3の矢」



いわゆる日本経済の手かせ・足かせとなっていた「規制」について、
一定の改革が期待できるかもしれないというものです。



いくつかの分野にわたっているため、本書のバックグラウンドとなる農業だけが、
紹介されているわけではありません。ですが、記事の内容は、限界集落株式会社
表現されている問題意識を的確に表現しています。



詳しくは、ブログ記事の下段の方に出ていますのでどうぞ!






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「付加価値へのカベ」





とはいっても、そうだ葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生で登場する
徳島県・上勝町の事例でも書かれていましたが、
農作物に付加価値をつけるのは、容易なことではありません。



本書で登場する、止村(とどめむら)集落営農組織でも、課題が山積です。
彼らが取り組んだ内容は、ざっと以下の通りです。


  • 付加価値の低い米作から扱いやすい葉物野菜への転換
  • 従来のJA以外の流通ルートの開拓。隣県、東京など大消費地への直接販売
  • 独自のブランドを認識してもらうためのキャラクター作り
  • webサイトを通して、従来では売り物にならなかったくず野菜の販売
  • 作物を保護するための獣害対策
  • 取引先への出資依頼

etc



著者の黒野さんは本書の最後に、執筆にあたって
取材を受けた千葉県の農事組合法人に対して、深々と謝辞を述べられています。



これらのことは実話に近い内容だと思います。
いや、付加価値をつけるためには、本書で書ききれなかったことを、もっとやっていたのでは
ないかと推測されます。




「人間の性」





このように、現代日本の農業の課題をバックグラウンドにしながら、
農作物に付加価値をつけていく過程そのものがストーリー展開となっています。



そのストーリーに味付けを利かせているのが、「人間の性」。


  • 面倒くさいことはやりたくない
  • 昔からのやり方で現状維持ができれば、それでいい。
  • 変えるのはとにかくイヤだ。


引用の文章は、これらの「性」を端的に表している箇所です。


"「では尋ねますが、その大切な土地をきちんと有効利用してますか。雑草だらけの田畑が目立ちますが、どうしてあんな状態になっているのでしょう」 「おれの土地どうしようが、おれの勝手でねか。いずれ売る土地かもしんねえ土地なんだ」 「売る…?いったい誰に売るんです」 「…それは、偉い政治家の先生が、買い手を誘致してくれるんだよ。ホームセンターやってる会社とか」 「つまり転用を見込んで売るってことですか」正登は首を振った。こんな山奥にホームセンターを建設したがるもの好きがどこにいる。鉄平はまだ、票田目当ての政治家の言っていることをまだ信じているのか。"

(P93 第1章 正登)


【関連エントリ】


そうだ葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生
TPPで日本は世界一の農業大国になる ついに始まる大躍進の時代






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