超えるべきは「付加価値のカベ」と「人間の性」
先日、twitterのタイムラインをながめていると、
Wall Street Journalの記事に関するつぶやきが流れてきました。
Wall Street Journal【社説】安倍首相の「第3の矢」
いわゆる日本経済の手かせ・足かせとなっていた「規制」について、
一定の改革が期待できるかもしれないというものです。
いくつかの分野にわたっているため、本書のバックグラウンドとなる農業だけが、
紹介されているわけではありません。ですが、記事の内容は、限界集落株式会社 で
表現されている問題意識を的確に表現しています。
詳しくは、ブログ記事の下段の方に出ていますのでどうぞ!
jcb047 / ccm224
「付加価値へのカベ」
とはいっても、そうだ葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生で登場する
徳島県・上勝町の事例でも書かれていましたが、
農作物に付加価値をつけるのは、容易なことではありません。
本書で登場する、止村(とどめむら)集落営農組織でも、課題が山積です。
彼らが取り組んだ内容は、ざっと以下の通りです。
- 付加価値の低い米作から扱いやすい葉物野菜への転換
- 従来のJA以外の流通ルートの開拓。隣県、東京など大消費地への直接販売
- 独自のブランドを認識してもらうためのキャラクター作り
- webサイトを通して、従来では売り物にならなかったくず野菜の販売
- 作物を保護するための獣害対策
- 取引先への出資依頼
etc
著者の黒野さんは本書の最後に、執筆にあたって
取材を受けた千葉県の農事組合法人に対して、深々と謝辞を述べられています。
これらのことは実話に近い内容だと思います。
いや、付加価値をつけるためには、本書で書ききれなかったことを、もっとやっていたのでは
ないかと推測されます。
「人間の性」
このように、現代日本の農業の課題をバックグラウンドにしながら、
農作物に付加価値をつけていく過程そのものがストーリー展開となっています。
そのストーリーに味付けを利かせているのが、「人間の性」。
- 面倒くさいことはやりたくない
- 昔からのやり方で現状維持ができれば、それでいい。
- 変えるのはとにかくイヤだ。
引用の文章は、これらの「性」を端的に表している箇所です。
"「では尋ねますが、その大切な土地をきちんと有効利用してますか。雑草だらけの田畑が目立ちますが、どうしてあんな状態になっているのでしょう」 「おれの土地どうしようが、おれの勝手でねか。いずれ売る土地かもしんねえ土地なんだ」 「売る…?いったい誰に売るんです」 「…それは、偉い政治家の先生が、買い手を誘致してくれるんだよ。ホームセンターやってる会社とか」 「つまり転用を見込んで売るってことですか」正登は首を振った。こんな山奥にホームセンターを建設したがるもの好きがどこにいる。鉄平はまだ、票田目当ての政治家の言っていることをまだ信じているのか。"
(P93 第1章 正登)
【関連エントリ】
そうだ葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生
TPPで日本は世界一の農業大国になる ついに始まる大躍進の時代
0 件のコメント:
コメントを投稿