2013年5月26日日曜日

ほんとうにいいの?デジタル教科書

デジタル教科書は通信添削に向いているんじゃないの?





"デジタル教科書は、応用力をもって課題を解決していく人材を育てられるか"
(表紙より)



非常に「薄い」本なので、内容はデジタル教科書に関する、問題提起に絞っています。
もちろん「薄い」といっても、「読む価値がない」という意味ではありません。
デジタル教科書に関する問題は、理想的な答えなどすぐ出ない性質のものでしょう。



ということは、デジタル教科書をはじめとしたITを活用した教育サービスは、
さまざまな立場の人や思惑が交錯し、試行錯誤する市場経済に向いている
気がします。



何しろ国内の教育市場は2兆4000億円強で、このうちネット化されたサービスは、
わずか3%の675億円にとどまっているそうです。



有料ページで、購読者の方しか読めませんが、詳しくはコチラまで、どうぞ
日経ビジネス2013年4月29日・5月6日号 デジタル先生、教育市場を侵食





iPad / Sean MacEntee





デジタル教科書から見る教育の問題点






本書が意識しているのは、小学校高学年から中学生に関する学習で、
上記の日経ビジネスが意識しているのは、すでに学校を卒業した社会人の学習です。



年齢層に違いはあるものの、本書で提起されている
デジタル教科書の「問題」を意識をすることは、
とりもなおさず、教育ビジネスの拡大につながることだと考えます。



以下では、デジタル教科書に関して、「ソフトウェアから見た問題」
「デジタルコンテンツと学びの質」について、列挙していきます。





「ソフトウェアから見た問題」と「デジタルコンテンツと学びの質」について




  • 問題点その1:

Web上のハイパーリンクやアニメーションは理解を促進するのではないか?(P30)

"課題となっているのは、文章を論理的に読み取ったり、抽象的な概念を理解したりする部分であり、そこで学力格差が生じている。学力格差が、具体と抽象の間の溝を飛び越える能力の格差に由来するのだとしたら、アニメーションやドリル型デジタル教材は学力格差を埋める上であまり役に立たない。"



  • 問題点その2:

オンライン上の無償サービスは、必ずしも教育に向けて設計されているわけではない(P35)

"たとえば、検索エンジンは、世界中の人々が適切な情報にアクセスすることでより深い世界理解にたどりつけるよう提供されているわけでは、ない。"



  • 問題点その3:

学習者の入力形式で圧倒的に多いのが「選択肢型」であること(P37)


"iPadの指を使ったマルチタッチによる入力などは真新しく感じられるが、基本的には「選択」の入力をスムーズにしたに過ぎない"



問題点を記述していると、デジタル教科書のメリットを最大限を生かためには、
昔から存在している通信添削の教育に、特に向いているのではないか?と考えます。
通信添削のノウハウをデジタル教科書に置き換えるのが良いのかもしれない。



ということは、問題作ったり、添削したり、学習管理するのは、
コンピューターの仕事ではなく、人間の仕事
ということになりますなぁ。




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