「所得再分配」をして「貧困率」が拡大する国
「なんんんんんんんじゃ、こりゃーっ!」(松田優作風に)
すごい数字を見た!
日本だけが、国民全体の所得を社会保障で再分配すると、
再分配前より、再分配後の方が貧困率が高くなります。
子どもの貧困率、当初所得と再分配後の比較
(クリックするとエクセルシートのダウンロードが始まります)
資料:OECD「Growing Unequal ?( 2008)」より
厚生労働省政策統括官付社会保障担当 参事官室作成
社会保障政策をやっている意味がないのでは…?
社会保障政策の最大の目的は、社会の構成員全体の所得を均すことです。
にも関わらず、所得の再分配を行った後に、なぜか子ども貧困率が悪化している。
(「なぜか?」の理由はこのへんの本に、平易に書かれていたりする)
これでは、他国と比較したときに、子どもの貧困だけではなく、
社会保障政策(再分配政策)が「落第」と言われても、しゃーないなぁ…。
ハイパーリンクと画像ファイルだけでは、目立たないので、テキストでも書き起こしておきます。
所得再分配の前後でみた子どもの貧困率水準の比較(2000年代中頃)(単位:%)
(管理人抜粋)
フィンランド 15.8→4.2
フランス 21.6→7.6
スウェーデン 15.0→4.0
英国 25.1→10.1
アメリカ 27.4→20.6
日本 12.4→13.7
やはり日本だけが、所得の再分配前後で、子どもの貧困率が逆転している…。
Central Gov't Bldg. No.4 / Dick Thomas Johnson
用語の定義
いろいろ難しい専門用語や、統計資料が出てきますが、
本書で一番目を引いた統計資料が、P96に登場するこの資料です。
あと、この資料で使われている「子ども」と「貧困率」について定義しておきましょう。
- 子ども(本文中から不明)
本書を読む限り、明確な定義はされていません。
むろん一次資料のOECDには定義がされているのでしょうが…。
前後の文脈を読むと、0~18才のことだと思います。
- 貧困率(P48)
日本の全世帯のうち、世帯所得が「相対的貧困基準」未満であるの世帯割合。
世帯人員やモデルが異なりますが、おおむね下記の額を下回ると「貧困」と定義されます。
「相対的貧困基準」のモデル
・1人世帯の場合(高齢者68才)→127万円
・2人世帯の場合(母38才、子5才)→180万円
・4人世帯の場合(父35才、母32才、子10才、8才)→254万円
【関連エントリ】
子どもの貧困 ― 日本の不公平を考える その2
山形道場 社会ケイザイの迷妄に喝!
【参考文献】
吉本佳生 日本の景気は賃金が決める (講談社現代新書)
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