あまりに人間臭くて心に滲みる一冊
本書を読んで最も印象に残ったところを引用しましょう。
この箇所は、見栄っぱりで、体裁を取り繕うことしか考えていない、
イワン・イリイチという人物の、心の葛藤を描いています。
"イワン・イリイチのおもな苦しみは虚偽であった"
(P61)
全文を概観すると、管理人はある漫画を思い出します。
現在も、週刊ビッグコミック・スピリッツに連載中の、闇金ウシジマくん です。
本書は、さしずめ19世紀ロシア版の、
ウシジマくんの世界といったところでしょうか。
といっても、話のストーリーは、貸金業の話ではありません。
いわゆる、「俗人」の精神世界の描写が、そっくりなのです。
(ちなみに、主人公である、イワン・イリイチの職業は裁判官)
そのイワン・イリイチの内面世界は、
- フーゾクくん(金銭欲)
- フリーターくん(自尊心、見栄)
- サラリーマンくん(家庭内の不和)
- トレンディーくん(依存心)
で構成されています。これらについては、自分も含めて、
人間全般に当てはまりそうなので、笑えるようで笑えません。
戦争と平和 / トルストイ
物語の後半では、イワン・イリイチが不慮の事故により、
死を迎えるシーンが、描かれています(それも長々と)
ですが、物語は、ここからガラっと変わります。
死に際しての痛みが、あまりにひどくて、
見栄や体裁などの外ヅラが、はがれてくるからです。
その辺まで読むことができると、
読んでる方も救われた気分になります。
ロシア文学が初めての人は、ロシア人の人名表記に戸惑うかもしれません。
そんなときは、心の中でテキトーに、あだ名をつけて読み進めましょう。
【関連エントリ】
夜行観覧車
【参考文献】
闇金ウシジマくん コミック 1-25巻 セット (ビッグコミックス)
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