2012年12月17日月曜日

2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する


たったの30分で「2050年行きの時間旅行」



2050年の世界英『エコノミスト』誌は予測する


"本書はふたつの重要な目的を持っている。第一の目的は、人々の健康から財産まで、あらゆる側面から世界を変革するトレンドを特定して探求することだ。
本書では、身の回りの話題をひとつひとつ論じていきたい。
この手法を採用すれば、わたしたちはヘリコプターから地上を見下ろすように、
はっきりした俯瞰図を掌握することができるだろう"


(P8「はじめに 2050年までを見通すことで現在が理解できる)


冒頭で、『エコノミスト』の編集長が、このようにおっしゃているので、
各章の最後についている、「まとめ」を読めば、本書の概略はすぐに掴めます。



すべての記事が、ジャーナリストの方によって、
書かれているので、非常に全般に読みやすい文体です。




しかし、400ページを超える大作ですので、完読を目指そうとすれば、
けっこうな時間がかかるとでしょう。



従って、時間に余裕のない方は、この「まとめ」をお読みください。
たったの30分で、「2050年行きの時間旅行」ができると思います(笑)



もちろん、管理人もこの「まとめ」を先に読んで、
後から関心のある分野について、詳しく読みました。
その中で、管理人が特に注目したのは、第10章です。



タイムマシン

TieLog 2010-11-04 / Sekikos



高齢化が21世紀中期の主要な課題に




第10章は、世界的な人口高齢化によって、年金と健康医療費の増大が、
国家財政にとって、地球規模で大きな負担になる
ことについて、言及しています。




"膨張していくばかりの国家に関する予測は、たとえやりくりしきれなくなっても以前のままの制度がつづくという大ざっぱな家庭の上に立っている。しかし、寿命がどんどん伸びても通常65歳という一定の年齢で公的年金を受給できると定めた戒律があるわけではないし、納税者は基礎年金より多くのものを提供することを、年金受給者が憲法上の権利として当てにできるわけではない。"

(P232 第10章「高齢化社会による国家財政の悪化をどうするか」)



この引用分を管理人の方で、分かりやすく意訳すると、次のようになります。



「政府のおサイフにもキリがあるんだから、打ち出の小づちのように
年金を出せないよ。何だったら、老齢年金の支給事由となっている、
〈65歳で高齢者〉っていう定義も、法律で書き換えちゃうよ!?」




じゃあ日本はどうなの?




日本の年金法と雇用法では、


  • 特別支給の老齢厚生年金
  • 高年齢者雇用安定法


の2つの法律によって、『エコノミスト』の指摘が、実現しつつあります。


  • 特別支給の老齢厚生年金
老齢年金の支給は「原則的に」65歳から。「例外的」に65歳未満から支給



  • 高年齢者雇用安定法
2012年現在、事業主は「64歳まで」の雇用者について、「安定した雇用確保措置」を
取らなければならない(2013年4月からは「65歳まで」に引き上げ。



従って、『エコノミスト』が予測している方向性と、国全体の方向性としては、
概ね一致しているので、引用の内容はそれほど驚くに値しません。



ただし、「砂漠の逃げ水」のように逃げていく、年金支給開始年齢と定年について、
ハッキリと出版物で述べているところが、『エコノミスト』のスゴイところだと思います。



日本人が言うべきところを、先にイギリス人が言っちゃったって感じですね。
【関連エントリ】は、2050年ではなく、2025年の働きかたです。「未来予測」つながり
ということで、お願いします。




【厚生労働省】

年金財政ホームページ
高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)



【関連エントリ】


「働きかた」の「考えかた」



【参考文献】


リンダ・グラットン
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 プレジデント社



ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉





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