TPPをビジネス思考で考えてみよう
おちゃらけミクロ経済学で、比較優位や割当に関する記事を書いて以降、
国際貿易の問題を考える際に、ミクロ経済学の視点が使えると、感じるようになり、
本書を手に取りました。
本書を読んで、最も印象に残った点は、TPP(環太平洋経済連携協定)の考え方が、
品目別に異なるというところです。
農業品目をカロリーベースで「まとめ」
少し大ざっぱにいうと、農業品目をカロリーベースで見ると
高い品目ほど「TPP参加反対」に近い立場が取られており、
低い品目ほど、「TPP参加賛成」に近い立場が、取られているような気がします。
(より正確に言うと「参加・反対どちらでも良い」という感じ)。
- 米・小麦・大豆・飼料など→カロリーベースの高い品目
- 野菜・果物・花卉など→カロリーベースが低い品目
※飼料とは家畜用を指しますが、その家畜は人間が食べるので、
カロリーベースが「高い」としました。花卉は食べられませんので、
カロリーベースが「低い」にしておきました。
農業品目をビジネスベースで「まとめ」
次にこれらの品目を、ビジネス単位でザクッとまとめなおすと、
次のような印象を受けます。
- 米・小麦・大豆・飼料など→国内向けビジネス
- 野菜・果物・花卉など→海外向けビジネス
例えば、小麦であれば、なぜか農水省が「輸入商社」(P119)をやって入る一方で、
リンゴについては、日本産のリンゴが「アメリカで大ヒット」(P47)しているのが、
非常に対照的です。
Fruits / mrhayata
知財分野と農業分野のTPPを比較
次に、少し大きな視点から知的財産権分野のTPP問題と、
農業分野のTPP問題を比較してみましょう。
先日のブログでは、知的財産分野のTPP問題のネックとなっているのは、
既存のメディア産業がデジタル・フリーのビジネスモデルについていけるか
どうかにかかっていることを述べました。具体的には次のような構造になります。
- 新聞・TV・音楽CD→デジタル・フリーは容認不可(紙・DVD・CDはコピーが簡単)
- イベント・ライブ→デジタル・フリーは容認可(生体験するものはコピーできない)
そしてここからが、管理人の個人的な予想です。
とっちらかった結論かもしれませんが、農業分野のTPPと合わせて、
ビジネス・ベースで次のように推測します。
- 米・小麦・大豆・飼料→新聞・TV・音楽CD→国内向け産業
- 野菜・果物・花卉→イベント・ライブ→海外向け産業
つまり、後者の組み合わせは、「海外に輸出できる産業」ということで
「まとめ」られるのではないでしょうか?
【関連エントリ】
限界集落株式会社
今週の週刊ダイヤモンド2013年2月9日号
おちゃらけミクロ経済学 自由貿易の条件
「ネットの自由」VS著作権 TPPは終わりの始まりなのか
【参考文献】
グレゴリー・N・マンキュー マンキュー経済学〈1〉ミクロ編 東洋経済新報社
0 件のコメント:
コメントを投稿