2012年12月15日土曜日

15歳からのファイナンス理論入門-桃太郎は、なぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?

現代におけるサバイバル思考法



5歳からのファイナンス理論入門-桃太郎は、なぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?



ファイナンス理論と聞いて皆さんは、何をイメージされるでしょうか?


  • リーマンショック
  • 現代の錬金術
  • 何やらわけのわからん数式の羅列 etc…

もちろん、人によって受け止め方は様々だと思います。
ですが、本書は中学生ぐらいの知識を持った人に向けて書かれています。
ファイナンス理論で得られる知見に基づいて、
現代社会を生き抜く手助けをしてくれる万人向けの本です。



文章はいたって平易で、簡明。なおかつ出てくる数式は、
小学校3年生までに出てくる加減乗除のみなので、誰でも読み進めることができます。
特に比喩や例の引きかたが、抜群に分かりやすいです。



ファイナンス理論と言うのは、ミクロ経済学における研究分野の一つです。
その中で、「リスク分散」についての説明が秀逸だったと思います。



ファイナンス理論では、ひとつの物事に注力するよりも、
いくつかの物事に力を分散させて、ひとつの物事がダメになっても、
他の物事で、カバーして、物事の平均値を狙う
という考え方があります
(株式投資でも日常生活でも同じこと)。


リスクの分類



著者は、この「リスク分散」について、さらに2種類に分けて、説明をしています。
ここで、登場するのがおとぎ話で有名な、「桃太郎」です。



  • 分散可能リスク


相関関係の低いヒト・モノ・資産を集めることによって避けられるリスク
桃太郎は、鬼退治に犬3匹を連れて行かず、犬・猿・キジを1匹ずつ連れて行った。
犬には、通常の戦闘能力、猿には、奇襲能力、キジには、空からの偵察能力を期待した。
桃太郎は、「チーム桃太郎」としての総合力で、鬼退治が出来る。



  • 分散不可能リスク


相関関係の高低に関わらず、避けられないリスク。
桃太郎がお供の家来に渡せるきび団子には、限りがあり、
犬・猿・キジを10匹ずつ連れていくことはできない。また、鬼が島の鬼の数も決まっており、
桃太郎は、「チーム桃太郎」として、兵力数の相対比を、調整することはできない。



この「桃太郎」のたとえから、現代のサバイバル戦術として言えることは、
「分散不可能リスクに強い人間になる」、ということになります。




あら川の桃

あら川の桃 / k14




例えば、電力会社からの、電気供給がストップしてしまったら、多くの人びとの生活が困るでしょう。
でも電力そのものは、誰しも必要であることには、変わりがありません。
従って、電力会社からの電力供給に頼らずとも、生活ができる人は、希少な存在になります。



自家発電や蓄電など、少ない電力でも生き延びる技術を持っている、
または知っている人は、大変貴重な存在となります。



社会全体でリスクを分散させよう




「分散不可能リスク」について、もう少し話を突っ込むと、社会全体で
このような「希少な存在」を囲っておくことが肝心なことではないか、と管理人は考えます。
しかし、いわゆる、こういう希少な存在は、ふだんは「昼行燈」のように見過ごされがちです。



  • 「忠臣蔵」の大石内蔵助
  • 「働きアリ」の中の「働かないアリ」


大石内蔵助は、浅野内匠頭が不遇の死を遂げ、藩を取りつぶされたからこそ、
仇の吉良上野介を討ち取り、後世に名を馳せたのかもしれません。
もし仇討ちがなければ、彼は凡百の藩家老で生涯を終えた、と言われています。



また、普段は、エサを一生懸命、取ってくるはずの「働きアリ」の中には、
必ず2割ぐらいは、手持無沙汰でぶらぶらしている、「働かないアリ」がいるそうです。



しかし、「働かないアリ」は外敵が侵入したときには、率先して巣を守ったり、
「働きアリ」では探してこられないような、意外な「エサ」を探してきたりします。



このように、管理人は、大石内蔵助や、「働かないアリ」がいることによって、
社会全体のバランスが、保たれている
ような気がしてなりません。




そういや、昨日の12月14日は赤穂浪士が、吉良邸に討ち入りを果たした日でしたね(笑)





【関連エントリ】

会社に人生を預けるな リスクリテラシーを磨く



【参考文献】


慎 泰俊

ソーシャルファイナンス革命 ~世界を変えるお金の集め方 (生きる技術! 叢書)


ソーシャルファイナンス革命 ~世界を変えるお金の集め方 (生きる技術! 叢書)


長谷川 英祐 働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)


働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)


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