「対岸の火事」ではないギリシャ・ショック
人の羨望や嫉妬を買うような単語が、ふんだんに出てきます。
ですが、それを補って余りあるぐらい痛快な文章構成だと思います。
金融業界は、アダム・スミスが「道徳感情論」で用いた、
「賢人」と「軽薄な人」の世界が、絡み合ってるなぁとしみじみ思います。
(他の業界も似たり寄ったりなのかもしれませんが)
道徳感情論で登場する「賢人」について
・スミスの見解:
「普遍的な社会の常識に照らし合わせて善悪を判断する人」
・本書での表現
"つまり現在の巨大金融コングロマリットを温存し、つぶれそうになったら、政府が救済し、(中略)金融機関で働くものの報酬水準にしよう、という発想は人類のなかで壮大に失敗してきた社会主義そのものである"
(P223)
道徳感情論で登場する「軽薄な人」について
・スミスの見解
「場当たり的な世間の評判を気にする人」
・本書での表現
"顧客だって、23歳の顔がいい女子と戯れるために、国民から預かっている年金基金から、証券会社に余分に手数料を払ってるなんて恥ずかしくて言えないから。…"
(P122)
本書では、規制をつくることが、かえって仇となっていることを説いています。
金融当局の規制は、複雑な金融業界のしくみ、業界、監督当局の肥大化を招いてます。
(規制がややこしすぎると、新規の業者が参入を嫌がるため)
また、これらの話を通じて、人ごとのように思っていた「ギリシャ・ショック」が、
どのように極東まで「請求書」が、回ってきたのかよく分かりました。
道徳感情論は、結構込み入った文章なので、
要約した本を、お読みになりたい方は、【参考文献】をどうぞ。
【関連エントリ】
日本人がグローバル資本主義生き抜くための経済学入門 もう代案はありません
デフレの真犯人 脱ROE〔株主資本利益率〕革命で甦る日本
【参考文献】
いまこそアダム・スミスの話をしよう~目指すべき幸福と道徳と経済学~
アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)
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