2012年12月14日金曜日

フリードリヒ・ハイエク

野球と市場経済を対比してみよう




フリードリヒ・ハイエク


難しそうな本なので、身近なものから例をひきましょう。
野球の試合で、どういう役割の人がいるかを想像してみます。

  • プレーヤー(選手)
  • マネージャー(監督・コーチ)
  • アンパイヤー(審判)
  • グラウンドキーパー(球場整備員)
  • ボール・ベース(試合球・塁)

これら、どの役割が抜けても、野球の試合は成立しないでしょう。
また、マネージャーが、アンパイアを兼務してしまったら、
とてもつまらない試合になるでしょう(というか、それは八百長試合だ!)



なお、チームオーナーやファンという役割の人もいますが、
話を分かりやすくするために、ここでは省きます。



本書のタイトルにもなっている、フリードリヒ・ハイエクという
人物の考え方を、管理人の方で(自己流で)、解釈すると、上記のようになります。


"社会の出来事に秩序をもたらすには二つの方法がある。
競争と政府による指導だ。私は政府による指導に反対しているが、
同時に、競争が機能してほしいと思っている。
(中略)私が言いたいのは、競争を可能にする条件を作りだせるところでは
競争に任せるべきだということだ"

(P170 第16章『隷属への道』より)


この引用のポイントは、「競争」「政府」という言葉です。
ハイエクは、それらの役割分担を、非常に重要視しています。
具体的には、以下の5つの概念について、分析を重ねています。


  • 市場
  • 価格
  • 司法
  • 契約
  • 私有財産

このハイエクの考え方を、野球の例えに当てはめると、

  • 市場→プレーヤー
  • 価格→マネージャー・コーチ
  • 司法→アンパイア
  • 契約→グラウンドキーパー
  • 私有財産→試合球・塁


ちなみに、野球というスポーツには、私有財産の概念が、しっかりと存在します。
攻撃側チームには、「27個のアウトカウント」が、
守備側チームには、「4つのベース」が、必ず与えられます。



投手

ホンダ vs 鷺宮製作所 / boomer-44



各チームは、これらの財産を、ゼロにしない限り、負けることはありません。
しかも、試合の状況によっては、アウトカウントやベースを、自らの意思で、
相手チームに譲り渡すこともできます。



攻撃側の犠打犠牲バント)」や、守備側の「敬遠四球(故意四球)」が、
それに当たります。



犠打について
敬遠四球について


本書はフリードリヒ・ハイエクという人物の生涯にわたる、
生活・交友・考え方を、まとめた個人伝記です。
管理人の「野球の例え」に飽き足らない方は、ぜひチャレンジしてみてください。



ちなみに、ページ数は400ページを超えます。
本の分厚さに、ビビッてしまわれた方は、
【参考文献】であげた、自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門からどうぞ!
あと関連エントリにもあげた、ハーバード大学のマイケル・サンデル先生とは、
正反対の持ち主の方だと、思います。




【関連エントリ】


資本主義と自由
隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】
市場・知識・自由-自由主義の経済思想
それをお金で買いますか?--市場主義の限界



【参考文献】


森村 進 自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)


自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)



マイケル・サンデル それをお金で買いますか――市場主義の限界それをお金で買いますか――市場主義の限界 早川書房


それをお金で買いますか――市場主義の限界



これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学



これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学



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