野球と市場経済を対比してみよう
難しそうな本なので、身近なものから例をひきましょう。
野球の試合で、どういう役割の人がいるかを想像してみます。
- プレーヤー(選手)
- マネージャー(監督・コーチ)
- アンパイヤー(審判)
- グラウンドキーパー(球場整備員)
- ボール・ベース(試合球・塁)
これら、どの役割が抜けても、野球の試合は成立しないでしょう。
また、マネージャーが、アンパイアを兼務してしまったら、
とてもつまらない試合になるでしょう(というか、それは八百長試合だ!)
なお、チームオーナーやファンという役割の人もいますが、
話を分かりやすくするために、ここでは省きます。
本書のタイトルにもなっている、フリードリヒ・ハイエクという
人物の考え方を、管理人の方で(自己流で)、解釈すると、上記のようになります。
"社会の出来事に秩序をもたらすには二つの方法がある。
競争と政府による指導だ。私は政府による指導に反対しているが、
同時に、競争が機能してほしいと思っている。
(中略)私が言いたいのは、競争を可能にする条件を作りだせるところでは
競争に任せるべきだということだ"
(P170 第16章『隷属への道』より)
この引用のポイントは、「競争」と「政府」という言葉です。
ハイエクは、それらの役割分担を、非常に重要視しています。
具体的には、以下の5つの概念について、分析を重ねています。
- 市場
- 価格
- 司法
- 契約
- 私有財産
このハイエクの考え方を、野球の例えに当てはめると、
- 市場→プレーヤー
- 価格→マネージャー・コーチ
- 司法→アンパイア
- 契約→グラウンドキーパー
- 私有財産→試合球・塁
ちなみに、野球というスポーツには、私有財産の概念が、しっかりと存在します。
攻撃側チームには、「27個のアウトカウント」が、
守備側チームには、「4つのベース」が、必ず与えられます。
ホンダ vs 鷺宮製作所 / boomer-44
各チームは、これらの財産を、ゼロにしない限り、負けることはありません。
しかも、試合の状況によっては、アウトカウントやベースを、自らの意思で、
相手チームに譲り渡すこともできます。
攻撃側の「犠打(犠牲バント)」や、守備側の「敬遠四球(故意四球)」が、
それに当たります。
犠打について
敬遠四球について
本書はフリードリヒ・ハイエクという人物の生涯にわたる、
生活・交友・考え方を、まとめた個人伝記です。
管理人の「野球の例え」に飽き足らない方は、ぜひチャレンジしてみてください。
ちなみに、ページ数は400ページを超えます。
本の分厚さに、ビビッてしまわれた方は、
【参考文献】であげた、自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門からどうぞ!
あと関連エントリにもあげた、ハーバード大学のマイケル・サンデル先生とは、
正反対の持ち主の方だと、思います。
【関連エントリ】
資本主義と自由
隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】
市場・知識・自由-自由主義の経済思想
それをお金で買いますか?--市場主義の限界
【参考文献】
森村 進 自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)
マイケル・サンデル それをお金で買いますか――市場主義の限界 早川書房
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
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