その仕事、社内にしますか?外注にしますか?
みなさんは、お勤めのお店・会社・団体などで、
こんなことを、感じたこと、はございませんか?
「この仕事、ウチ(社内)でやるべきか?アウトソース(外注)すべきか?」
この疑問について、経済学の専門用語で説明すると、取引費用の問題にあたります。
著者のロナルド・コースは、この問題について研究をしています。
冒頭の問題について、コースの考え方を使って、
管理職や経営者の方が、解決しようとすると、このようになります。
「この仕事はアウトソースしてもいいんだけど、外注先に説明するのがメンドーだ。
ウチの誰かにやらせてしまおう。あ!キミキミ、コレやっといて。あとはヨロシク」
business people / AGmakonts
コースの定理
コースは、先ほどあげた仕事の解決方法について、次のように考えています。
- 外注先への説明→費用の発生
- ウチの誰かにさせる→費用の節約
仕事を自分以外の誰かに任せるとき、
その仕事に関連する情報を、伝達しなければなりません(いわゆる「引き継ぎを行う」)。
この伝達にかかる、時間やお金のことを、コースは取引費用と呼んでいます。
企業が存在する意味について
現代ではさまざまな財やサービスが存在し、
それらを取引するための「市場」もたくさん存在します。
その「市場」では、その中で無数に飛び交う情報は、
「価格」という情報に縮約されます。取引参加者は、それにもとづいて行動します。
この「市場」という、一種の組織では、
中央集権化された組織とは異なり、分権化された個人が、
「価格」にもとづいて、すばやく行動します。
それではなぜ、企業は、市場取引に参加するのでしょうか?
企業は大きくなればなるほど、意思決定について、多数の人間がかかわりあうため、
価格に素早く反応できなくなるのにも関わらず。
それは、企業は、組織の外部に出て、仕事についてイチから説明するよりも、
「キミキミ、コレやっといて」と言って、企業の内部で片付けてしまった方が、
お金も時間もかからないからです。
じゃあ外注先っていらないの?
しかし、コースは常に「キミキミ、コレやっといて」の方が良い、
と考えているかと言えば、実はそうではありません。
"そうしてまた、ことわるまでもなく、個々の企業にとっては、
もしより低い費用でこれを行うことができる他の企業が存在すれば、
その企業がとってかわるという途も存在しているのである"
(P71 第3章産業組織論-研究についての提案)
この引用の典型例としては、会社の税務業務などが、あげられるでしょう。
日々の記帳業務などは、(ほぼ)ルーチンワークですから、取引費用は、ほぼ0に近くなります。
小さな会社は、よく税理士事務所に、(一部の)経理業務を委託しています。
ただ「コースの定理」で、本当に留意しなければならないのは、
「取引費用ゼロ」の業務の対象が、広がりつつあることです。
記帳業務や給与計算業務のような、いわゆる「補助業務」だけでなく、
製造業の「研究」・「開発」・「流通」・「販売」のような、
「基幹業務」までもが、「取引費用ゼロ」になりつつあります。
…っていうか、もうなっていますがね。
しかも、自動車とか航空機の製造業の基幹業務で。
「何でそんなことになるんだ?」と疑問のお持ちの方は、関連エントリや参考文献までどうぞ!!!
【関連エントリ】
ビル・ジョイの冒険-ネットワークをコンピュータにした人びと
組織の限界
MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
【参考文献】
クリス・アンダーソン MAKERS―21世紀の産業革命が始まる NHK出版
田中浩也
FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)
オライリー・ジャパン
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