善い社会を構想する
本書のメッセージについてを一言で言うならば、
さまざまなものの見方ができる経済学の中で、新しい「価値観」の提供でしょうか。
「善い社会を構想する」(P312)のが、本書の目的です。
最近のリーマンショックにはじまる、
金融資本主義や、政治哲学・経済思想の問題など、
著者の佐伯先生は、「ビッグワード」からの問題提起を行っています。
読んでいると、これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学の
著者のマイケル・サンデル先生や、世界の99%を貧困にする経済の著者である、
ジョセフ・スティグリッツ先生の考えと、似ているような気がします。
三人とも、「国家」・「市場」以外の、第三勢力の台頭を考えておられるからです。
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ですが、佐伯先生がおっしゃる「善い社会を構想する」ための、
タネとして、三者の提案を比較すると、それぞれ違いが分かります。
- マイケル・サンデル先生・・・「公共善」という政治哲学
- スティグリッツ先生・・・教育投資というインフラ投資
- 佐伯先生・・・「官民協調」の公共計画(P316)
もちろん、これらの提案についての良し悪しを、判断することはできません。
ただ、ものぐさで、めんどくさがりやな、管理人がこの3つの中で、
「手間ひまかからなそうなくて、お財布にやさしい提案」を
選ぶとすれば、2.だと思います。
なぜなら、Googleやfacebookが、「善い社会」のインフラシステムを、
すでに構築しつつあるからです。
それに乗っかって、人間の喜怒哀楽を上手に表現することや、
感じ取れるようにすることを教育することが、「善い社会」の実現に向けて、
もっとも安上がりである、と考えるからです(ようするに情操教育ってやつですね)。
ちなみに、徹底解析!! Facebookというビジネス (洋泉社MOOK) を読むと、
facebookが国家でもなく、市場でもない、新たな「市民社会」を築こうと考えていることが、伺えます。
本書の構成は、「起承転結」です。前から読むと結構ツライかもしれません。
時間のない方は、できるだけ後ろの章や、各章の「結論部分」から読んでいくことをお勧めします。
【関連エントリ】
世界の99%を貧困にする経済
【参考文献】
マイケル・サンデル
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
早川書房
ジョセフ・E・スティグリッツ 世界の99%を貧困にする経済 東洋経済新報社
徹底解析!! Facebookというビジネス (洋泉社MOOK)
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