「起業をするな!」ということではございません
"起業家になるべき理由は、もう一つ存在する。
それは、個人の幸福だ。さまざまな研究から幅広く集めたデータによれば、
人は他人のために働くよりも、自分のために働いた方が幸せになれる"
(P136)
これは、「箴言」だと思います。
かのアダム・スミスは、経済学の古典的名著である
国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上) で、
経済は、単に人間の慈愛心から成り立っているのではなく、
肉屋やパン屋などの利己心から成り立っている、と説明されています。
上記の引用は、まさに、そのスミスの国富論を、髣髴とさせるものがあります。
また先日、当ブログでも紹介した幸福度をはかる経済学の
第7章でも「自営業とボランティアはなぜ幸福なのか?」という、
研究テーマがあるので、もう一度読み返してみたいと、思いました。
これから起業をしようと考えている人にとっては、
この背表紙やタイトルは、「冷や水」を浴びせられそうな言葉です。
ですが、本書の真意は、全ての起業を行うことを、やめさせることではありません。
安易に彩られた有象無象の、「神話」にもとづく起業について、警告を行っています。
Tokyo Stock Exchange / Dick Thomas Johnson
もちろん、起業は、「こうしたら成功する」という方法はありません。
ただ、本書では、世の中に広く流布されている、「神話」の裏返しをすることで、
「失敗せずにより長く生き延びる方法」についての、「ヒント」が、散りばめられていると思います。
P167~P169において「よりよい起業家」になるための、具体的な示唆がされています。
参考文献:
アダム・スミス 国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)
ブルーノ・S・フライ 幸福度をはかる経済学
0 件のコメント:
コメントを投稿