18世紀版「北斗の拳」!
本書の最初に著者の、「過激な」主張が述べられています。
"わたくしは、二つの公準をもってさしつかえないであろうと考える。
第一、食糧は人間の生存にとって必要であること。
第二、両性間の情念は必然であり、ほぼ現在の状態のままでありつづけると思われること。"
(P22)
この文章を意訳すると、こういうことになります。
私は、二つの原理を主張する。
一つは、人間には食べていかなければならない。
二つは、男女間の性欲は当然で、未来に向かってなくならない。
マルサスはこの主張に続いて、人口は、2乗、3乗、4乗といった具合に、
「累乗的」に増加するということを、述べています。
一方で、人間に必要な食料は、耕地などが限られているため、2倍、3倍、4倍など
「倍数的」にしか増加しないと、マルサスは考えています。
仮想実験として、無人島に男女一組のペアを送り込んで、
300年の間、様子を見ると、人口対食糧の比率は、なんと4096対13になるそうです(P30)
58190027 / Mark Yang
これらの考察から、18世紀・イギリスの経済学者である、ロバート・マルサスは、
- 人口は食糧に対して常に過剰であろうとする
- 戦争や疫病などが起きたときに人口抑制が行われる
- 人間は常に飢餓スレスレの貧困状態で暮らすのが当たり前
という、「北斗の拳」を彷彿とさせる、すさまじい結論を出しました。
しかし、実際この結論については、「半分ハズレ」で「半分あたり」というところが、
現代経済学における評価です。
「なぜそんなことが言えるのか?」と疑問にお持ちの方は、
兄弟ブログの、おちゃらけミクロ経済学の、限界収穫逓減の法則シリーズまでどうぞ!
ちなみに、参考文献で紹介している人月の神話 でも、
マルサスが唱えた食糧危機問題との共通点について、
コンピュータのソフトウェア開発の世界において論じられています。
【参考文献】
フレデリック・P・ブルックス,Jr人月の神話
0 件のコメント:
コメントを投稿